非現実的な彼女の夢

右腕に水滴が垂れた。冷たさの不快感で目を覚ますと、オレの腕を枕がわりにして眠るなまえの眼から涙が零れていた。一体どうした。泣いているのに寝続けるという状況には、正直どう対応していいか分からない。起こすのもしのびないが、そのまま放ってはおけない。まいったな。


「、ん」


あ、起きた。目をこすって、泣いてることにびっくりして、んでまた寝るのかよ。すやすやじゃねーよ。


「おい」
「んー」


寝ぼけたツラでオレの顔を見るが、いつもの半分も目が開いてない。その瞳にオレはちゃんと映るのか。


「シカマル、起きたの?」
「起こされたんだけどな」
「えーだれに?まだ夜中だよ。迷惑な話だねぇ」


おまえだよ。
女ってのは本当に勝手な生き物だよな。


「泣いてたぜ」
「うん、自分でもビックリした」
「どうしたんだよ」
「くだんないよ?」


そう前置きして、なまえは泣いた理由を話し始めた。頭も少しずつ冴えてきているようだ。


「きのうお風呂入ってるときにね、シカマルってこのままだと何も喋んないでも私のこと理解ってくれるんじゃないのかなって思ったの。そしたら本当に何も喋ってくれなくなるんだもん、ひどいよ。何言っても全部無視。悪代官より悪どいよ」
「それ夢だよな」
「そう、そんな怖い夢を見たの。謝って」
「ふざけんな」
「でもね、」
「勝手に話進めんな」
「シカマルには何も言わなくても伝わってて楽だなぁって思っちゃたのはホント。だから夢の中でこれはそう思った罰なのかもしれないって思って」
「…」
「そしたらバカなことしたなぁって思って泣けてきた」
「、バカじゃねーの」
「シカマルが笑ってくれないなんて、最高に怖い夢だよ」
「最高の使い方おかしいだろ、」


女はまぁ苦手だ。何考えてるかわかんねーし、男に媚びるし、計算高いっつーかなんつーか。だけど、嫌いにゃなれない。自分で話しててまた悲しくなったのか、こいつの目ん玉に涙の波が泳ぐ。頭置きになっている右手を曲げてなまえの顔を自分の胸に抱き込むと、背中に腕を回して抱きついてきた。


「そんなしょーもないこと心配すんなよ」
「ね、くだんなかったでしょ」
「最高にくだんねーな」
「ふふ」


空いてる左手で頭を撫ででやると、気持ち良さそうな寝息が再び聴こえてきた。これでオレも安眠できるってもんだ。


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