残り30分、生徒の3/4は見つけだせた。今年の鬼ごっこはハプニング続きだよまったく。まず目を開けてビックリしたのはアカデミーにいたはずのオレが見知らぬ森に連れ去られていたこと。こいつらが黙って隠れるなんてしないよな〜分かってたよ、うんうん。幻術だと分かっていてもここに隠れた奴らをとりあえず探すしかない。幻術解いちゃったら大変なんだよ。今隠れているとこが幻術の中じゃ安全でも現実に戻った瞬間、そこが崖だったりとかあるんだから。って、もしかしてあいつそれも見越してこれ創ったのか!?だとしたら性格悪いぜまったくよ〜!
この幻術、十中八九なまえの仕業だろう。前に幻術の授業した時、目めちゃくちゃ輝かせてたもんなぁ。実践でもとんでもない成績を残してるし。それ以外は、オレがどんだけ熱心に授業してもうんともすんとも言わないんだけどさ。その情熱を他にも回してくれよ。
「さて、この中にいるのはもうお前で最後だな」
金髪の少年を捕まえると、オレの腕の中でジタバタと暴れまわる。もう捕まってるんだから観念してくれ。ルール聞いてたのかよ。
「だー見つかった!くそぉ」
「ナルト失格だ」
「悔しいってばよ!!」
幻術の中に隠れていたのはナルトで最後だ。この中にもう他の人間がいる感じはしない。となるとまだ残っているのはサスケ、シノ、キバ、なまえ、シカマルの5人だな。サスケはまぁ成績も優秀だし、逃げ切る術を知っているから当たり前だろう。シノとキバも想定内だ。この演習に関しては二人の得意分野。オレの位置を他のみんなより特定しやすい能力を持っている。ヒナタもいい線までいっていたけど、見つかったときの心の弱さが敗因かな。さて、問題はなまえとシカマルだ。あいつらは成績悪いくせに演習になると力を発揮するんだよな〜。だから、その情熱をテストにも注いでくれよ。
「とりあえず解くか」
幻術返しをするとあっという間にアカデミーに戻ってきた。残り時間は10分。さてどこから探そうか、と考える間もなくまったく隠す気もないチャクラが存在を主張してきた。
「シカマル〜お前なにやってんだよ」
「ふあぁぁ。なんだ終わったのか?」
「終わってない!だからもっとしっかり隠れてくれよ!!」
木の上で居眠りをしていた奈良シカマル、失格決定。
「シカマルってばなんでなまえの幻術に居なかったんだってばよ!?」
「あ?だってイルカも幻術の中にいるなら現実の世界にいるほうが見つからねーだろ」
ナルトとシカマルの会話がオレの耳にも聞こえてくる。シカマル、それを考えられる頭があるんだったら隠れ方によっては見つからないだろう?なんでそこでお前は寝ているんだよ。才能が泣いてるぞ。不甲斐ない生徒に愚痴を零したくなる気持ちを抑え時計を見ると、開始から2時間が経ってしまった。
「鬼ごっこ、終了だ。今見つかっていない4名が今回の合格者だ」
「キャーやっぱりサスケ君はすごいわぁ!」
「シノとか普段からどこ居るかわかんねーもんな」
「キバは普段うるさいくせにねー」
生徒のみんなが次々に思ったことを口にしていく。シノ、どんまいだ。それにしてもあいつらどこに隠れてんだか。大声でもう出てきていいぞーと言うと真っ先に出てきたのがなまえだった。出てきたというか、もうそこに居たので正直ビックリした。
「やほー」
「なまえよだれついてるぜ」
「あーなまえ!お前自分は幻術の中にいないってふざけてるってばよ!?」
彼女を囲むようにシカマルとナルトが詰め寄っている。
「ふざけてなんかないよ〜ナルトが騙されるから悪いんじゃん。シカマルは気付いてたからあんなこと聞いたんでしょ?」
「あぁ」
「納得いかねー!だったらどこに隠れてたんだってばよ!?」
ナルト、ナイスな質問だ。オレもそれ知りたいぞ。
「隠れてなんかないよ。ずっとここにいたもん」
ナルトが頭に?マークを浮かべている。ずっとここにいた…確かになまえはそう言った。今さっきもどこから出てきたというよりそこにずっといたかのように現れた。まさか、
「二重幻術か」
「あ、イルカ先生。おっつー」
「最初に創った幻術とべつにもうひとつ幻術を張っていたのか?」
「そうそう、だから私ぜんぜん移動してないんだよ。きついし」
「、ハハ。なんて奴だ」
高等忍術だ。そのあとサスケにシノ、キバが順番に出てきたがどこに隠れていたか教えてくれる奴はいなかった。生意気で憎たらしい愛すべき生徒たちと再確認した1日だった。
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