裏口 | ナノ


▽ 幸せなすれ違い


「ロ、ロイド……、これ以上は」
「ダメだ。あんたから誘ったんだろ?」

ロイドはそう言うと、クラトスの衣服に手をかけた。襟元を緩められ、首筋を強く吸われる。
その熱さにぶるりと体を震わせると、隙ありとばかりに、胸元に手が入れられた。
器用な指が、敏感な突起を弄ぶ。抵抗したいのに、慣れた身体は、クラトスの意思とは関係なく、反応を返してしまう。 

確かに今日、クラトスは、ロイドを誘った。
明日は休養で、この街に滞在する予定だから、近くの森で手合わせをしたい、と申し出た。
だが、それだけだ。
こういう意味で誘ったのではない。
(……ここはしっかり締めておくべきか)
親心もあって、クラトスはそう思い至った。
かつて、騎士団に所属していた頃、そうしていたように。

騎士団では、喧嘩にしろ、色事にしろ、こちらの意思に反する事を仕掛けてくる輩には、それ相応の対応をすべきと決まっていた。
要するに、報復であり、教戒だ。

ほだされそうになる身体に鞭打って、クラトスはロイドの手首を掴むと、力づくで地面にねじ伏せた。

「うわっ?! おい、こら、何するんだよ!」
「……それはこちらの台詞だ。いくら気心の知れた仲でも、相手の言い分を無視するのは良くないな」

ロイドは何か言い返そうとしたが、クラトスはそれを許さなかった。両手首を取ったまま、強引に口づけ、その口をふさぐ。

「ん、む……!」

身長や体格はクラトスの方がはるかに上だ。身じろぎを抑え込むと同時に舌を入れ、ロイドの口内を蹂躙する。
熱く、巧みな口づけに、若干17歳の少年は、為すすべもなく陥落した。

大人しくなったころを見計らって、クラトスは唇を離した。ロイドは頬を上気させ、息も荒くクラトスを見上げている。
だが、瞳は反抗的な光を宿したままだった。欲望の色も、先程より増している。
クラトス自身もそれにあてられて、すっかりその気になってしまった。
だが、ここでいつものように好きにさせては、示しがつかない。

クラトスは、ロイドのズボンの前を寛げた。
そして勢い良く跳ね出してきたそれを掴み、あらわにした自らの秘蕾にあてがう。

「ちょ、クラトス、何す……、」
「大人しくしていろ。今日は、私がしてやる」


そうして、教示は無事に為された。
ロイドにとっては、むしろご褒美だったのだが、そこは言わないでおいた。
(積極的なクラトスも可愛かったから、またしてもらおう)
当のロイドがそんなことを考えているとは全く思わず、クラトスは満足気に身支度を整えていた。

end.


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