気まぐれに短文
(主:高丘朝人/たかおかあさと)

エリ+ブ

「Nice idea! とっても楽しそうですわね。もちろん参加致しますわ!」
「イエイ!」

 想像通りの答えに油断をした上杉の耳に届いたのは、とんでもない言葉だった。

「具材は色々あるのでしょう? お餅や餡子、chocolateですとか! どのようなtasteになるのか想像出来ませんわ」
「ちょ、エリーちゃんそれ鍋てか闇っ……!」

 桐島が買い出し待機組に決定した瞬間であった。

ゆき+ブ

「へぇ、おでんパーティか。いいね、乗った」

 即、賛同を返したのは黛だ。なんだかんだで面倒見も付き合いもよい彼女は、断らないだろうと踏んではいたが、万が一という事もある。彼女を引き込めるなら後は楽勝だ、と上杉は来たるお祭り騒ぎを思い浮かべてにやけた。

(アヤセとエリーちゃん。マークとアサトは問題ないっしょ)

 男連中を丸め込むのは園村に任せてある。南条と城戸の反応次第では、全員で強制連行しようと意気込んで別れた。何とも頼もしい。

「で、具体的にはどうなってるんだい」

 思考の底に沈んでいた上杉に、黛のはっきりとした声が掛けられた。直ぐさま切り替えた上杉は、相も変わらずのオーバーアクションを返す。

「それはこれから決める予定だゼイ。とりあえず、買い出しは男連中にお任せあれ!」
「アンタらに任せたら時間が掛かって仕様がないよ。荷物持ちが二人、麻希に着いてくのがベストだろうね」
「ゆきのさんは」
「残りの準備、指示を出す奴が必要だと思うよ」

 額に手をあて、ふっと溜め息を漏らした黛。
 上杉は軽い調子で礼を返し、心中でひそかに冴子先生も誘おうかと考えた。

マキ+ブ

「マキちゃん、おでん作れる?」

 珍しく、真っ先に園村の所へ向かった上杉は、口を開くなりそう問うた。

「作れるよ?」

 目をぱちくりとさせた園村は、疑問符を浮かべながらも律儀に答えた。ご馳走して! と、上杉が間髪入れずに畳み掛ける。目を輝かせ、満面の笑顔で是非と頼まれては断るにも断り難い雰囲気だろう。

「上杉君、おでん好きなの?」
「好き! なにより手料理が恋しいんスよ〜」
「いいよ、具は何がいいかな。折角だし、皆でパーティもいいかもね」

 メインがおでんだけど。
 真顔で付け足した園村の口が閉じて、一瞬静まる。
 二人は顔を見合わせ、同時にふっと噴き出した。

綾+ブ

「アヤセ、おでん食って帰らねェ?」
「なに上杉、おごり?」

 ざわつく放課後、いつもの会話。ただ、普段と違ったのは上杉が提案した行き先。
 エルミンの学生御用達であるピースダイナーでも、駅近くに多いファーストフードでもなく、コンビニエンスストア。寄るなれば、まさに買い食いというスタンスである。

「こないだアイツらとおでんとか交換しあってさァ」

 温かいおでんを思い描いているのか、上杉は幸せそうな笑顔で語る。
 対する綾瀬の反応は薄く、むしろ冷ややかといっても過言ではない程だ。

「え、アンタら男ばっかで交換って……どこのJK? ケーキひとくちぃー、アタシもー、と同じノリじゃん」
「でひゃひゃひゃ!」
「ま、行ってもイーけどぉ。なに食べよっかなー」


「…………JK……」
「? どうした」

男連中

「うっは、ソーダバー当たったー!」
「おま、馬鹿だろ、この寒ィ中アイスとか」
「これからおでん買うからいーンすよー。あっ、マーク、からあげ一個!」
「交換な」
「今おでん買ってくるからちょっと待ってろよ!」
「稲葉、俺もからあげ。大根でいいか?」
「ほらよ。おっ、うめぇなこの大根」
「よくしもっててイイ味出てるだろ」
「まるで貴様が作ったような言い方だな」
「南条は食わねぇのかよ。あ、城戸! ぎゅうすじと交換してくれ!」
「あ? ああ」
「俺もいいか」
「おら」
『うまい!』
「……うめぇ」
「おれ様も混ぜろよ〜!」
「あ、ワリ上杉。からあげ全部食っちまった」
「ちょっ……!」
「……クッ」

 

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