あいすみるくを一杯。


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青春にさよなら

眩しい陽の光を浴びてもなお、頑なに閉じていた瞳にキスを落とす。
おはようございます、と囁くと、綱海さんは気怠く欠伸をし、不機嫌そうに眼鏡をかけた。
昨日は大学のレポートを仕上げるためにわざわざ俺を呼び、手伝わせた。
そのかいあって、一文字も手をつけていなかったレポートを1800字全て書き終えた。
初めて俺の文章表現力が誰かの役にたった。
しかも、愛しい綱海さんの。

「早くしないと、朝ごはん冷めちゃうし、せっかくのレポートも台無しですよー?」
そう言うと、ガバッと起き一瞬のうちに着替えて、席に着いた。
「いただきます!」
どうしてこの人は、いつどんな時でもこんなに美味しそうに食べるのだろうか。
そんなことを思いながら眺めていると、あっという間に食べ終わり出かけていった。

綱海さんが帰って来るまでに、掃除、洗濯、買い物など家事を全て終わらせておいた。
なぜなら、一緒にいる時間を一秒でも長くしたいからである。
ドアが開く音がしたので振り返ると、そこには疲れきった綱海さんがいた。
大好きなホットミルクを作り、ソファに座る。
すると手を引かれ、押し倒された。
「ごめん、立向居。お前で癒やされたい」
混乱する頭の中で言葉が響く。
いつもなら言わないキザな言葉を言うなんて、相当疲れたんだろうな。
そう思ってしまったがため、同情してしまった。
「…いいですよ」
綱海さんはえっ、と言葉に出すほど驚いた。
次の瞬間、俺を押し倒したその姿勢のまま笑い出した。
「なんですかっ」
俺は急に恥ずかしくなって、ソファに顔を埋める。
「ごめん。でも、その不意打ちは反則だから。ほんと………可愛すぎ」
強引に仰向けにされて、軽く口付けされる。
「もう子供の恋愛じゃ足りない」
そう言うと、今度は深く、暖かいキスをした。
「立向居って従順な…そう、犬みたいだな」
「そんなんじゃないですよ。もっと俺は、淫乱なんです」
綱海さんの首を持って、唾液を流し込み、嬲るように舌を這わせた。
「キスだけでこんなんなるとか」
「ばか。見ないでください、こんなだらしない姿」
優しく撫でられてんんっ、と思わず声が漏れてしまう。
綱海さんは大胆に太腿を擦り、首筋に所有の証を刻む。
「ここでシてもいい?」
俺は少し溜めて、こくりと頷いた。

朝起きると、昨日の感覚がまだ残っていた。
隣で幸せそうに眠っている貴方を眺めながら、俺はもう一度眠りにつく。

俺達はこうして、清らかできらきらした青春を手放した。


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題名を此処/たかさき様からお借りしました。
綱立とても好きです。

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