あいすみるくを一杯。


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こんなにも好きなのに

放課後、部活の前の空き時間。
ここは雷門中のサッカー棟の裏。
「つるぎーぃ…」
まるで寝起きの猫のように気怠い声で呼ぶ。
「なんだ?」
「好き」
「…ッ!?///」
天馬は掴んでいたシャツをはなして、俺を後ろから抱きしめた。

しばらくそうしていると、
「もう、行かなきゃダメ…?」
と天馬は一言言った。
「みんな来るだろ」
「俺は剣城と一緒にいたいよ…」
「お前…俺との関係がバレたら、」
「わかってる!」
天馬は泣き出しそうな声で続ける。
「だって、こんなの不公平すぎるよ…
剣城はなんにも悪くないのに…」
「俺は雷門にとって必要ない存在なんだ。
本当は今、ここにいることさえ悪いことなんだよ?」
「でも俺にとっては必要なんだ…!!」
「そんなこと言うなよ!」
俺はつい怒鳴ってしまった。
天馬がビクッと跳ねるのがわかった。
「ゴメン…、そういうつもりじゃ…」
「大丈夫、いつも俺のこと考えてくれてるって知ってるから」
自分でもわかる位、不器用な俺。
そんな俺のことをわかってくれてる人がいるって、こんなに嬉しいことなのか。
「剣城、ほんとは優しいのになぁ…」
「そんなこと…」

「おっ俺、剣城が居なくても、ちゃんと練習するっ」
「それでいいんだ…」
そう言った俺は、なんだか少し寂しく感じた。

「それでな〜、」
遠くからキャプテンの声がする。
「神童キャプテンには、泣いてほしくないよね」
「一応敵だが、俺もそう思う」
お互い顔を見合わせて、静かに笑った。
しかし、楽しい時はそう長くは続かない。
「そろそろ俺、行くな」
「…うん」
天馬はとても寂しそうな顔をしていたので、
「明日も来るから」とサラッと言ってしまった。

来れるかどうかわからないのに―

天馬は笑顔で「約束だよ?」と言った。
俺は胸が張り裂けそうになりつつ、自分の戻るべき場所へ戻る。
天馬は出入り口のある方へ駆けて行く。
「早いな、天馬」
「俺、サッカー好きですから!」
「そうだなっ!」

あの笑いの奥にさっきの天馬がいると思うと、また会いに行ってやりたくなってしまう。
しかし俺は、今起こったことを全て忘れて、
今日も1人、サッカーをする。


*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*

またリメイクです
なので今とは少し違った書き方になってます
話してる場所を途中で部室→サッカー棟の裏に変えたので、
変な所があるかもしれない…です←

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