あいすみるくを一杯。


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Cherry Blossom

今日は卒業式。
三国さんたちは去年卒業し、いよいよ今年は俺達の番である。
入場を待っていると霧野が声をかけてきた。
蘭「ちょっと緊張してきたな…」
神「あぁ」
笑顔だけど、どこかいつもと違う。
きっとそれは、緊張しているだけじゃないだろう。
俺は式歌の伴奏を頼まれていたので、深く深呼吸をして鍵盤に手を置く。
自分の伴奏で皆が歌うのは気持ちがいい。
いつものように引いていると、たまたま霧野と目が合った。
にこっと笑う霧野があまりに可愛くて、つい一つ音を間違えてしまう。

そして式も終わり、外で門送する時間になった。
うちの学校は結構自由で、好きな友人と勝手に歩いていい。
神「霧野、一緒に行こうか」
蘭「あぁ」
霧野は泣いていた。
この一言ですら、やっとの思いで出したのだろう。
天馬や剣城たちと少し話し、出口へと向かう。
歓声の中、学校を出た瞬間ー

蘭「桜だ…っ」
顔をあげると、満開の桜が俺達を歓迎していた。
まるで、高校でもがんばれと言っているかのように。
咲き乱れる桜の中、霧野は一人立ち止まる。
神「綺麗だよ、とっても」
にこっと微笑み、「ありがとう」と返すその姿は、本物の天使と見間違えるほどに美しかった。

霧野の桃色の髪と桜の花が同化していく。
やがてそれは幻となった。

神「今まで、ありがとう」
そう言うと、桜の木が笑って見せた。

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