あいすみるくを一杯。


topblognovelilustmaillink




美人ちゃんの悩み事。

フットボールフロンティア、略してFF。
僕が彼に出会ったのは、その決勝だった。
世宇子は、2対3で雷門中に負けた。
あの時の僕たちには、敗北などあり得ないことで。
しばらく落ち込んだものだよ。
そんな時、円堂くんは敵だった僕に、明るい希望の手を差し伸べてくれた。
僕らはみるみる仲良くなっていき、今では僕にとって円堂くんは、大切な存在になった。

そんなある日、円堂くんに会えたらいいなと願いながら街を歩いていると、知らない子と一緒に歩いているのが見えた。
胸が突然きりきりと痛みだし、倒れそうになる。
頭の中に色んな『どうして?』が渦巻く。
声をかけたいのに、かけられない。
とりあえず世宇子中のみんなを呼んで、尾行することにした。

しばらく行くと、2人はサッカーショップに入った。
もう一人の子は、格好がボーイッシュなので、サッカーをやっていると言われても不思議は無かった。
2人で笑っている姿を見ると、また胸が痛んだ。
次はファミレスに入っていった。
ジャンボパフェを頼み、楽しそうに待つ様子は、まるで恋人だった。
あーん、とふざけて食べさせ合っている。
あんまり辛いので、僕は我慢出来なかった。
「えっ、円堂くん…っ!」
後から聞いたのだが、その時、僕の顔はとても赤かったらしい。
2人はびっくりして、でも何故か嬉しそうにこちらを見てきた。
「偶然だな、アフロディ!」
おいで、と手招きするので、僕は円堂くんの隣に座る。
「この子が噂の美人ちゃんかぁ〜」
もう一人の子は、まじまじと僕の顔を覗き込む。
「円堂をよろしくなっ!」
ニコリと笑うその子は、今、何と言ったのだろうか?
円堂くんはこれまでに無い焦りようで、僕はくすっと笑ってしまった。
「あっ、アフロディまでー!!!」
「ごめん、円堂くんがあまりに可笑しくてつい」
ひとしきり笑った所で、ずっと思っていたことを聞いてみた。
「あのぉ…、あなたは、円堂くんの彼女さんじゃないんですか…?」
一瞬静かになった後、2人が笑い出す。
えっ、と困惑していると、円堂くんが説明し始めた。
「こいつは俺の親友。風丸って言うんだ」
「あっ、ちなみに俺、男だからね!」
そう言われハッとする。
「ご、ごめんなさいっ!あんまり綺麗な顔だったから…」
「いーよ、よく間違えられるから」
慣れてるし、と笑い飛ばしてくれた。
「ねねっ、円堂とは上手くいってるの?」
「えっ!?」
「まだ付き合ってないからっ!」
「まだ?」
ニヤニヤして、真偽を確かめようとする。
「あっ、えと、それはっ、」
「これを機に、付き合っちゃえば?」
勝手に話が進んでいって、頭がパンクしそうだ。
円堂くんはしばらく黙っていた後、話し始めた。
「…アフロディ」
「はっ、はい!」
「好きだ…付き合ってくださいっ」
「よく言った、我が親友よ!」
「えっ…!!?」
あぁ神よ、幸せに限度があるならば、今、この瞬間に全部使いきってしまったようだ。
火照る体に、一筋の涙が溢れる。
また『どうして?』が増えてしまったようだ。
「…返事は…?」
「あっ…、うん」
それしか、言えなかった。
でも、言いたいことは伝わったようで、円堂くんも少し泣いていた。
「あー、俺、用事思い出した。帰るわ」
風丸くんは、そう言って伝票を持ち、ファミレスを後にした。
「ありがとう、円堂くん」
「いや、こっちこそ」
この頃には、胸の痛みも自然に消えていた。

僕は初めて、愛される喜びを知った。


×おまけ×
次の日。
「なぁ、円堂」
「ん?」
「アフロディって、女子だよな?」
「えっ、男だけど…」

風丸は思っていた。
自分は重大なミスを犯したと。

[ 12/4]

[prev] [next]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -