あいすみるくを一杯。


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サッカー少年に魅せられた夢

「頑張れーっ!」
大声をあげて応援する。
暑い日差しの中、ホイッスルが鳴り響き、
試合が始まった。
どんどんパスが繋がり、ボールが敵陣に斬りかかる。
「いっけぇーっ!」


「えっ、サッカー選手?」
確かに、そう書いてあった。
決意と共に。
「ん、あぁ」
優士は恥ずかしそうに答える。
そんな君に、今まで知らなかった感情が
私の身体を支配した。

普段、友達とふざけあったり、
馬鹿みたいなことして怒られたり、
面白いなぁと見ていた。
寝てばっかでイヌみたいで、適当で…
そう思っていた。
だけど、違った。
寝てしまうのは、人一倍練習しているから。
適当なんかじゃない、通すところは芯を貫き通す。
そう知った時、
隣じゃなくてもいい。
この人が幸せになる姿を見ていたい、と思った。

喋ってるとね、好きって言いそうになるの。
あんまり大好きすぎるのも大変なんだね。
「起きて〜!」
「ぁ、おはよ…」
目をこすり、起きる気があるのか、
優士はやる気のない声でそう言った。


シュートが入り、こちらが一点勝ち越した。
「やったぁ、優士!」
優士はこちらを向き、ガッツポーズをした。
心がほっこり、暖かくなる。
試合はそのままリードを広げ、結果は3対0で勝った。
みんながベンチの方へ戻る中、
グラウンドでは汗と泥にまみれた優士が立っていた。
「おつかれ!」
「ありがとな、柚奈」
男くさい匂いが漂っていたけれど、
私は構わず抱きついた。
「おまっ、俺臭いし!柚奈汚れるだろっ!!」
「いーの」
汚くなることを心配してくれてるのは嬉しいけど、
今はこのままでいたい。
「あのね、」
今なら、どんなことでも言えそうな気がした。
何でもできる気がした。
「私、優士が好きだよ」
優士の疲れきった頭には衝撃が大きすぎたのか、
ただ、呆然と立っている。
しばらくして「俺が、先に言おうと思ってたのにな」と
ははっと笑いながら言った。
「ごめん。待てなかった」
にーっと思いきり笑って見せる。
すると、私の頭を自分の胸に寄せた。
「ばーか…ちょっとは待てよ」

その時、2人の瞳に
涙が浮かんでいたのは、2人だけのナイショ−

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