あいすみるくを一杯。


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甘い衝撃

最近、霧野先輩を見てるとイライラする。
俺と喋っているのに、「神童っ!」とか言って、いっつもどこかへ行ってしまう。
それにみんなと喋っていても、俺だけ話してくれてない気がする。

そんなモヤモヤを胸に抱きながら練習していると「おーい、狩屋!なんだそのパスは!!」と怒られてしまった。
「もともと、先輩が悪いんですよ」なんて小声で言ったのに、「なんか言ったかー!」と返ってくる。
「何でもないでーす」プイッとそっぽ向いてまた練習に励む。
ばーか。

練習が終わると、霧野先輩から声をかけてきた。
ちょうど、俺も用事があったからラッキーだった。
何の話かは知らないが、サッカー棟の裏に連れていかれる。
「せーんぱいっ!何の話ですかぁ?」
猫を被って探りを入れてみる。
「べっ、別に、大した話じゃないんだ…」
いつもはきはきして、きっちりしているのに、今は呂律も上手く回らず、声が小さく、震えていた。
「あのさっ、俺、」
「先輩が好きですっ」
「えっ?」
「そう言いたかったんでしょ?だから先に言ったんです」
満面の笑みを浮かべ、ためらいなく言ってやった。
よく出来たなと、自分でも驚きを隠せない。
「ばか狩屋…」
安堵の表情で言われて、ドキッとする。
あぁ、何で男の娘に恋をしてしまったんだろう。
出会った瞬間、今までの人とは違った何かを感じた。
全身に電気が流れ、吐き出しそうなくらいの衝撃が頭の中を駆け巡った。
あの時の衝撃が今、また起こっている。
「先輩、抱きついていい?」
一瞬、びっくりして「…あぁ」と答えた。
胸と共に締め付けられる感触。
甘いイチゴの匂い。
しなやかに舞う、桃色の髪。
この時間を切り取って永遠にとっておきたいな。
そんなことを思ったけれど、これからもっとたくさんの思い出を2人で造っていくんだ。
今はただ、心の中に大切にしまっておこうと思った。

「狩屋、帰るぞ」
「はぁーい♪」
帰路につく俺達の手は、しっかりと握られていた。

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