あいすみるくを一杯。


topblognovelilustmaillink




本日も晴天なり

カノはいつも俺に、好きだと言ってくる。
でもそれは、カノが嘘つきだから。
昔からそうだった。
俺はずっとカノに想いを寄せていた。
思い切って告白したこともあったが、「僕も、キドのこと好きだよ」と笑顔で、なん躊躇いも無く言い放ったので、これはラブでは無くライクだと思い知らされた。
でも、それ以降好き好き言ってくるようになってしまい、セトにそういう関係なのだと勘違いされている。

「ねぇねぇ、最近、カノとはどうなの?」
好奇心だけで聞いてくるセトには困ったものである。
「ちゅっちゅっしてるんすか〜?困った子たちっすね〜」
「はぁ?だから、カノとは何も…「まぁ俺は、マリーと毎日楽しくやらせてもらってるっすけどね〜」
ニヤニヤしながら自慢話を聞かせてきて、あまりにウザイのでみぞおちに一発お見舞いすると、さすがのセトでも倒れてしまった。
「あ」
声がした方に振り返ると、そこにはタイミング悪く居合わせたカノが立っていた。
恐れられ、軽蔑されると思ったのに、カノはあまりに突飛なことを言い出したのだ。
「セトだけずるい!キドといちゃいちゃしてー!」
「え」
それはない、と苦しみながらカノに訴えるセトは、言い終わったあと意識を失った。
「セトォォォォォォ!…ま、いっか」
あまりの切り替えの速さに、驚き、声も出ない。
「い、いいのか?」
「うん?だって、セトはこんなんじゃ死なないっしょ!」
まぁ、そうなんだけど。
こんなんで死んでたら、今頃一度死ぬだけでは到底足りないほど、何度も死んでいる。
「それに、キドと二人っきりになれたし?」
いつものケラケラと言う笑いではなく、艶かしい笑みを浮かべて、グッと顔を近づける。
「僕さぁ、ずっと好きって言ってるのに、キド、全然信じてくれないんだもん」
「なっ、当たり前だろっ!」
嘘くさい顔は相変わらずだが、本心は真剣だということが、俺にはわかる。
「無理もないかー、僕、嘘つきだもんね」
一瞬、寂しそうな顔をしたが、すぐ戻る。
「そうだけど…、そうじゃない」
「なにそれ、面白いね!でも、全然意味わかんないよ?」
「お前は嘘つきで、何が本当だかわからない。でも、本当は素直で、誰よりも純粋で、顔に全部出ている」
まっすぐにカノを捉え、ふるふると首を振るカノをよそに続ける。
「もう一度言うけれど、俺はカノが、好きだ。カノがどう思っていようと」
「バカキド!なんでそうやって、いいとこ全部キドが持ってちゃうの!!僕は好きだって言ってるのに。あの時も、先に言いたかったのに」
さっきまでの威勢はどこへやら、半泣きでひたすら訴えてくる。
「落ち着け。カノのことを嘘つきだとは思っていない。…好きって言うのは信じられなかったけど」
「ほらぁ!…あと、恥ずかしいから僕のこと語らないで」
真っ赤な顔して顔を逸らす仕草に、当たり前のようにきゅんとする。
いつか思い焦がれた未来は、小さなことで胸がときめいてしまう、そんな恋だった。
「わかったって!だから離れろっ!!」
「あっ、ごめん…」
がっしりと抱きついていたカノは、正気に戻り、再び顔を赤く染めて、俺から離れる。
「でももう、信じてくれた?」
「あ、あぁ…」
晴れて両思いになったと実感した時、どうしようもなく恥ずかしくて、穴があったら入りたいと思った。
「あぁ、もう!キド、たまらなく好きだわ」
そのエネルギーを、どう発散したらいいのか知らないカノは、必死に床を叩いたり、クッションをばふばふしたりしている。
「だから、落ち着け!…もう」
「なんなんすか…うわっ」
あまりにカノがうるさくしていたので、セトが目を覚ました。
「やっと気絶から目を覚ましたって言うのに、なんでこんなことに!?」
「えーっと…、色々あってカノが暴走した」
「カノ!いくらキドが可愛くっても、あんまりうるさいと嫌われるっすよ!」
痛恨の一撃をくらい、カノはフリーズした。
「…しずかにします」
「それでいいっす!」
えへん、とキドの方を見てドヤ顔するので、思わず笑ってしまう。
今日も、メカクシ団は幸せだ。


[ 29/1]

[prev] [next]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -