地獄型殺戮兵器G-04
落ちる、堕ちる、墜ちる。
どれが正しいのか、僕にはわからない。
目の前が、ぐちゃぐちゃになっていく。
僕はそれを止めようとはしなかった。
何故なら、それが僕の望んだことだから―
それからどのくらい経っただろうか。
誰もいない暗闇の中、一人立っていた。
これでは話と違うじゃないか。
極楽浄土はどこ行った。
光を求めて歩き出す。
その内、自分が何者なのか、何がしたいのか、どうして死ななきゃいけなかったのか、全部思い出せなくなっていた。
頭が痛い。
脳みそが噴き出しそうなくらいに。
でも、歩かなきゃ。
手にはナイフ、と言うより包丁を握りしめているが、何のために持っているのかはわからない。
「君は、重大な罪を犯した。決して許される物ではない」
頭の中で響く。
聞いた覚えはないのに、不思議と落ち着いた。
「両親を殺め、それどころか一万の命を弄んだ」
そういえば、そんなことしたかもしれない。
でも、そんなちっぽけなこと、もう忘れてしまったよ。
「君はどうしようもなく病んでいたのだ。俗に言うものなんかではなく、本当に。ヒトの心など最初から備わっていなかった」
ひどい言い方だなぁ、と思いつつ、一方で僕は何のために、何と言う存在として生まれたのだろうかと疑問を抱いた。
「しかし君を創ったのは、間違いではなかった」
ああ、思い出した。
僕は人間を滅するために産み落とされた、いわば兵器だった。
神々の暇つぶしに、世界に10人ほど送り込まれた。
神にとって人間なぞ、いつ滅びようと関係無い。
だって、何もできないんだもの。
いたっていなくたって、変わらないじゃないか。
さぁ、これはゲームだ。
僕はその任務に耐えかね、自殺した。
しかしまた送り込まれる。
人間、そして僕にとって、最高のハッピーエンドは決してやって来ることはないだろう。
そうわかっていても、追い求めてしまう。
それが、僕の愛だから。
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