あいすみるくを一杯。


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秘密のキス

ぷにっ。
「いったーい!」
じわじわくる痛みをかばうように頬をさする。
その横でにこは、放送禁止な顔をしていた。
「ちょっと、何するのよ」
「別にー?」
もう無理、と吹き出すにこを横目に席に着く。
「ねぇ。怒らないでよ、真姫ちゃーん」
「怒ってなんかないから」
真姫はそう言って、机に目を落とす。
「怒ってるでしょ。ごめんってばぁ!」
何をしていても突っかかってくるにこに、ついに苛立ちが爆発した。
「あーもう、うるさい!にこちゃん黙って!」
いきなり大きな声をだしたからか、はたまた真姫が珍しく本気な顔で怒ったからか、にこは肩を震わせた。
「…わかったわ」と、それだけを言い残して教室を去る。

ちゃんと反省できるじゃない。
いつもは何でああなのよ。

しばらくそうやって考えていたが、どうしてもにこが気になって、とうとう後を追いかけて行った。

三階、中央廊下の隅。
そこは行き止まりになっていた。
にこは落ち込むと、いつもそこで丸くなっている。
「何やってんのよ」
「真姫ちゃん…」
すとん、と腰を降ろし、にこの小さな手を握った。
こんなに冷たくしちゃって…
「私ね、自分でもわかっちゃうぐらい意地っ張りで、誤解されることも多かったの。今まではそれでもいいやって思ってた。でも、にこちゃんにはちゃんとわかってほしい」
うん、うん、と何度も頷く。
だんだんと気色が紅くなっていく。
「だから…その、ごめんなさい」
慣れない言葉に、真姫はつまらせる。
「ううん、私が悪かったの。真姫ちゃんのこと、考えてなかった」
にこはそう言うと、いつものようににこっと笑い、真姫を抱き寄せて囁いた。
「大好き、だよ」
真姫がくすっ、と笑うと、「もう馬鹿っ、恥ずかしいじゃない!」と言いながら顔を真姫の胸に埋めた。

薄暗い廊下で二人は、秘密のキスをした。

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