あいすみるくを一杯。


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3.偽りの愛

「先輩、シャワー浴びるでしょ?」
「当たり前だろ。こんな汚れた身体で、神童と会えるか」
いつも先輩はそう言うけれど、俺はその汚れた身体と言う表現はとても気に食わない。
俺との性交渉を、汚いものだと認識されていると感じるから。
決して俺を認めないその姿勢に、寂しさを覚える。
「あ、シャンプー忘れた。それ取って」
大声で叫ぶので、慌てて探し持っていく。
霧野先輩は、シャンプー、リンス、ボディソープなど、全てを持ち込む。
きっと、俺の匂いを残さないためだろう。
そこまで拒絶したいのか、と怒りさえ沸くほどだ。

「おーいっ」
後ろから声がして振り返ると、霧野先輩の顔が目の前にあった。
そのまま唇を重ねると、先輩はぎゅっ、ときつく俺を抱きしめた。
まだ温かさが残る柔肌が、肌に吸い付く。
「狩屋って柔らかくって、俺好きだわ」
シャンプーの香りに、思わず勃ってしまう。
「軽々しく、好きとか言わないの」
めっ、と額にデコピンをくらわせ、先輩はくらりとした。
「はぁ、素直に受け取れよ。俺は本当に好きなんだから」
眉をひそめてそう言う。
「ばか」
これが今の俺にとって、一番の強がり。
いつかこんな薄っぺらな愛情が、中身のある物になればいいな、と願いつつ、片方で無理だとわかっている自分がいた。

虚しいだけの馴れ合いなんて、もう嫌だ。

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