あいすみるくを一杯。


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4.やきもち

学校であの人は、何でもできるいい人になる。
性に飢えた酷い人だと、何度公表してやろうと思ったか。
しかし出来なかった。
きっとそれは、こんなことになっても霧野先輩のことが好きだから。
認めたくないけれど、認めてしまうほどに好きが溢れてくるのだ。
だからー。

「神童っ!」
「うわあああ!?」
「驚いた?」
後ろから嬉しそうに抱きつく先輩を見て、胸がキリキリと痛む。
「もぉ、心臓止まったかと思ったよ」
俺にはしない顔、しないことを、神童先輩には簡単にやるんだ。
それがどうしようもなく悔しくて。
ふいにぐっ、と霧野先輩の肩を掴んで、口づけをしてしまった。
先輩は驚いたあと一瞬恥じらい、キッと俺を睨みつけた。
神童先輩は何が起こっているのかわからない様子で、顔を赤くしてきょろきょろ周りを見渡している。
「おい、何やってくれてんだよ」
いつもなんかと比べものにならないくらい低い声で、先輩は詰め寄る。
「やきもち、妬いちゃったんスよ」
にこにこ笑顔でやり過ごそうとするけれど、無理に決まっている。
「いつもやってることじゃないですかぁ?」
神童先輩をわざと見ながらそう言うと、「猫かぶりもいい加減にしろ」と即座に返された。
自分でも、何でこんなことしてしまったのかわからない。
「もうお前とは一切、縁を切る」
そう耳元で囁かれて、そこからの記憶はない。
目を覚ますと、そこは保健室のベッドだった。
これは夢だ、夢だったんだ、と言い聞かせ、精神状態を安定させようと試みた。

しかし落ち着く訳もなく、涙が溢れた。

((夢ならいいのに))

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