青樹


新入社員の頃吉川が一目惚れしたのは性欲処理課の青樹だった。

「先輩、あれ誰ッスか?めっちゃべっぴん…」
出勤時会社の外で見掛けた金髪碧眼の美人を思わず指差しながら、吉川は隣を歩く先輩の上地に訊いた。
「ありゃ青樹だ。どっかのハーフらしい」
「へー」
見とれている吉川に、上地は険しい顔を向けた。
「あいつはやめとけ。処理課だぞ」
「…ショリカ?」
上地の言葉の意味を理解するにはそう時間はかからなかった。
社内に入った途端、青樹は社員にいきなり抱きつかれ、きれいに着こなしていたスーツを脱がされたのだ。
「…まだ、用意が出来てませんから」
「我慢できないんだよ!」
皆が出勤時に通るロビーの真ん中で、青樹は下半身裸で、社員にまさぐられていた。
息の荒い社員は青樹のアナルをべろんべろん舐め回した。
嫌そうな顔をしながらも、青樹は文句を言わずにおとなしくしていた。
「朝から何やってんだ、あいつ」
「青樹かわいそー」
「こんな時間に盛んなよー」
二人の横を通っていく他の社員は平然とし、時に茶化しながら素通りして行った。
「な、ななななんッスかあれ!」
大慌てで肩を叩く吉川の手を、上地は鬱陶しそうに振りほどく。
「だから青樹は性欲処理課なんだってば。簡単に言えば、社内ならあいつとヤり放題ってこと」
上地が言い終わるのと同時くらいに、興奮した社員がついに青樹のアナルへペニスを挿入した。
「あっ、は……っ、あぁ……っ」
グチュッグチュッパチュッヌヂュッ
青樹の声といやらしい音がロビーに響いた。
「慣れろよ。あんなの日常茶飯事だぞ」
上地の言葉が、やけに吉川の耳に残った。


はじめこそ処理課の存在に戸惑っていた吉川だが、気付けば他の社員と同じように処理課に処理を頼むようになっていた。
しかし未だ青樹にだけは頼めていない。あの一目見た瞬間から、吉川の中で青樹は特別な存在になっていたのだ。話したことすらないのに。

「会議だるいッスねー」
午後からの会議の準備をしながら、吉川は上地に言う。
「でも今日は処理課が何人か来てくれるらしいぞ。それ楽しみにがんばろーぜ」
「誰来るんッスかね?」
「まー大体こういうのって新穂とか雪村だよな」
「へー」
上地の言葉に気を抜いて会議に出た吉川だが、実際に来た処理課を見て心が乱れた。上地が言った通り雪村と新穂が来たのだが、もう一人、青樹も処理しに来たのだ。
「俺雪村がいいな、お前は?」
小声で話し掛けてくる上地に、吉川は上手く返事が出来なかった。戸惑っているうちに会議が始まる。
処理課はテーブルの下に潜り込み、社員の処理に取り掛かっていった。
会議中に聞こえる口で処理をしている音。それに青樹も混じっているかと思うと、吉川は気が気でなかった。
「ラッキー、」
上地が発した小さな声に目を向けると、雪村が上地の処理をしに来ていた。
雪村は上地のペニスを赤い舌でチロチロ舐めた。
横で行われている処理を見て、もうすぐ自分の番かと思うと吉川はすでに勃起してしまった。
そのペニスを、スラックス越しに白い手が撫でた。
「っ!?」
ついに吉川の番が来たのだ。テーブルの下を覗くと、青樹がいた。
「あ、」
青樹はちらっと、吉川を見てからジッパーを下げ勃起したペニスを出した。
「んっ、ぉ…っ」
隣で上地が体を震わせながら気持ち良さそうに雪村の口の中に射精している。
その行為を今から自分が青樹にするのかと思うと、吉川のペニスからはだらだらと我慢汁が溢れた。
先端から垂れる我慢汁を、青樹は舐めとる。
あの青樹が自分のペニスを、と思うともう興奮が止まらなかった。
レロレロちゅぱっちゅっレロッ
グリ、グリ、ぢゅっ、グリ
先端を舐め舌先でぐりぐりされて、吉川のペニスはビクビクしていた。
(……っ、気持ち良い…)
吉川は顔を真っ赤にした。
想いを寄せていた青樹の口での処理は、今までのアナルの処理よりも格段に気持ちが良かった。
会議の内容そっちのけで金色の睫毛を見つめていると、ふと青樹が上目遣いで吉川を見た。
「う、あ」
ドピュッビュッビューッ
ジュッジュルッジュッ
吉川は少し呻いて、青樹に吸われながら射精した。
青樹はごくりと、ためらいなく精液を飲み込んだ。
吉川の息は上がったまま、おさまることはなかった。
今まで特別視し、青樹に処理を頼んでいなかったが、もう吉川は止まらなくなってしまった。
「青樹さん、あとで…またいいですか」
青樹は無表情のまま、頷いた。目はあの日のように冷たかった。


「んっ、ちゅ、むちゅ、はぁ…っ青樹さん…っ!」
会議が終わったあと、吉川は会議室に残り青樹の乳首を夢中で吸った。
肌の白い青樹の乳首は可愛らしいピンク色だった。吉川はそれを見ただけでペニスの先を濡らした。
「お前、変わってるな」
青樹の言葉を聞きながらも吉川は乳首に吸い付くのをやめない。
「我慢できないのなら、最初からアナルを使えばいい」
青樹はそう言うが、吉川はそうではなかった。青樹を愛でたかったのだ。
「俺、青樹さんに処理してもらいたいんじゃなくて、青樹さんとセックスがしたいんです…っ!」
吉川は必死な顔で訴えた。
青樹はめずらしく驚いた表情を見せた。しかしすぐいつもの無表情に戻ってしまった。
「私は処理課だ。処理しかできない」
「でも、」
「すまない」
青樹の碧い目に見つめられ、吉川は黙った。ただその目から冷たさは消えていた。
「処理なら、お前の、好きにすればいい」
青樹はそう言って、ワイシャツのボタンをすべて外した。ピンク色の乳首だけでなく、ペニスまで露になった。
吉川は座り込み青樹のペニスをじっと見た。
「こっちは茶色なんッスね…」
青樹の陰毛に指を絡めいじる吉川。
青樹の顔が、少しだけ赤く染まった。
「…っお前…本当変わってるな…っ」
今までそこについて触れられたことがなかったのか、青樹は嫌そうに身を捩らせた。
吉川は青樹のペニスに吸い付いた。
ちゅばっジュッジュルッちゅぱっクチュッジュッジュルッ
「はっ、ぁ、ぁっ」
青樹が吉川の頭を押さえた。
快感に耐え自分の髪を掴んでいるのかと思うとそれだけで興奮し、吉川は青樹のペニスをしゃぶりながら射精した。
青樹の脚に精液が飛ぶ。
しかしまだ吉川は萎えない。
青樹を寝転ばせて、正常位でペニスを挿入した。
「あっ、青樹さんの中っ、すごい…っ」
青樹のアナルはきゅんきゅん吉川のペニスを締め付けた。吉川は我慢できず腰を動かす。
「あっ、あぁっ!んんっ、んっあぁっ」
ジュポッズポッグチュッヌチュッパチュッパチュッ
「あっ青樹さん!青樹さん!」
「んっんぁっぁっあっあぁっあぁんっペニス、だめっ、あっそんな突いたら…っ」
青樹のいつもの無表情は崩れ、感じている色気のある表情になっている。
吉川の腰は止まらない。
「おちんちんって言ってください…っ

吉川の変な頼みに、青樹は当然首を振る。
「変なこと、っあ、言うなぁ…っあぁっ」
「お願いします、青樹さん…っあぁっ、お願いっ」
パチュッパチュッグチュッヌチュッパチュッパチュッ
青樹は首を振りながら喘いだ。
「やっ、あぁっ!あっだめっあぁんっおっおちんちん…っおちんちん激しい…っ」
青樹の発言に吉川はまた高まり射精した。ドピュドピュと青樹の中に注がれていく。
「あん、ぁっ熱…っぁっあん、ぁぁっあんん…っ」
それから吉川は仕事も忘れて、気が済むまで青樹と処理をした。

吉川は床に座り込んでいたが、青樹はてきぱきと身なりを整えた。
あんなに気持ち良さそうにしていた顔も、今では無表情に変わっている。
「じゃあな」
青樹はそう言って吉川に背を向けた。
吉川は青樹の名前を呼んだ。
「俺、青樹さんが好きです」
青樹は足を止めたが、振り向かなかった。
「お前、やっぱり変わってるな」
「…………」
「処理課に恋愛感情なんか抱かない方が良い」
会議室のドアが、パタンと閉じた。


back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -