久遠


性欲処理課が他の社員とは別日に二泊三日の慰安旅行に行くことについて、社員全員が不満を抱いていた。
居残るのは課長の久遠。
久遠は処理課にいるにも関わらず、処理内容は不明。処理をしてもらったことのある社員など、皆聞いたことがなかった。
つまりその慰安旅行の三日間は、性欲処理を行う人物が実質的に誰一人としていないのである。

「どーいうことなんッスか久遠課長!」
「なんで処理課だけ別日に慰安旅行なんかするんですか!」
処理課の慰安旅行に関する資料が各部署に配られた朝、早速文句ある社員たちが久遠の元にやって来た。
久遠は自分のデスクに長い脚を乗せて、社長椅子のような柔らかい椅子に腰かけていた。
褐色の肌を黒のストライプのスーツで隠し白く光る銀髪ヘアーにヤンキーのようなサングラスをかけた久遠の見た目に内心ビビりながら社員は不満をぶつける。
久遠はだるそうに口を開いた。
「てめーらがうちのモンを所構わず襲うからだろーが。処理課の処理対応は勤務時間内のみ!一歩社内から出たらお前らのきたねぇちんこの処理なんかする必要ねぇんだよ!」
久遠の言う通り、去年の慰安旅行は旅行先でも構わず処理課は処理をせがまれた。
見かねた久遠が、今年は処理課がゆっくり羽を伸ばせるよう配慮したのだった。
「じゃあ三日間俺たちはどうしたら…」
「んなもん自分で扱け糞」
「………………」
「あ、あの…」
久遠と社員の不穏な空気に、様子を見ていた新穂が言葉を挟む。
「なんだったら俺、居残ります…。俺で良かったら…」
新穂に輝きの目を向ける社員たち。
「新穂お前…なんて可愛い奴なんだ…!いじらしい!」
なぜか新穂の態度に大絶賛する久遠。
普段の姿からは想像が出来ないだろうが、久遠は処理課のメンバーをまるで家族のように大切にし、愛でているのだ。
だが一変してまた社員をサングラスの奥の目で睨み付けた。目は見えなくとも眉間の皺と殺気で社員たちはびくついた。
「気ィ遣わせてんじゃねぇこの糞共!さっさと仕事しやがれボケナス!」
社員たちは戸惑いながらも軽く頭を下げ、しかしまだ不満を抱いたまま久遠に背を向けた。
二三歩歩いたところで、久遠が呼び止める。
「どーーーーーーーしても処理課の処理が必要になったら、俺がしてやる。嫌なら我慢するか自分でヤれ」
この男に処理を頼む社員などいるのだろうか?おそろく自分には関係のない話だろう、そう思いながら社員たちは処理課を出て行った。
「でも本当に一人で社員の処理する気なんですか?」
社員たちの足音が遠退いてから、雪村は久遠に言った。
「俺に頼む奴なんかそうそういねーから大丈夫大丈夫」
久遠は手をパタパタさせて欠伸をした。


処理課慰安旅行初日。処理課は久遠が居るだけでがらんとして、静かだった。各部署も、皆普通に仕事をしている。いつもどこかしらで聞こえる嬌声もない。
随時携帯に届く処理課の部下たちの旅行の写真を眺めながら、久遠はとくに何もせず昼まで過ごした。
あまりの退屈さに昼寝でもしてやろうかと思っていたところに、処理課のドアがノックされる。
久遠が返事をする前に扉が開かれた。
入ってきたのはこの間文句を言いに来た社員のうちの一人だった。
何も言わない久遠の前で社員は頭を下げた。
「しょ、処理を…お願いします……っ」
社員は息を荒くしていた。
「…自分でヤれって言っただろーが」
「し、しました…!自分で…っ、三回も…!で、でも興奮してきて…っ!収まらないんです…!」
社員はビキビキに勃起したペニスを久遠に見せつけた。
社員の顔は切羽詰まっている。やはり今まで処理してもらっていたのに、それがいきなりなくなると余計に耐えられないらしい。
久遠は仕方なく処理をすることにした。

「久遠さんって、やっぱ、美人なんですね…」
ジャケットを脱ぎ、サングラスを取った久遠を見て社員は呟いた。普段の恐ろしい姿からは想像出来ないほど、久遠の目は美しかった。
久遠が美しい容姿だったことに顔を綻ばす社員を鼻で笑ってから、ペニスに舌を這わした。
久遠の舌はねっとりとペニスを舐め上げ、ちろちろと先端を刺激すると、社員はびくびく反応した。
「くせぇ、」
久遠は眉間に皺を寄せながら、パクリとくわえた。しゃぶり吸い付く久遠の伏し目がちな表情を上から見た社員は、我慢できず体をぶるぶる震わせて射精した。
いきなり口内へ精液を出された久遠は不機嫌そうな顔をしながら、社員へキスをした。そのまま精液を口移す。
「うえっまっず…っ!!」
自分の精液を飲まされた社員は顔を思いきり険しくしたが、その行為にまた反応したペニスが上を向いた。
「久遠さん、さ、触っていいですか…?」
「早く萎えろ糞」
久遠はそう言って社員が自分の体に触れるのを許した。
社員は久遠の唇に吸い付いた。あの久遠とキスをし、あの久遠と舌を絡ませ合ってるかと思うとペニスに熱が集まる。
ペニスを体に擦り付けられ、久遠はキスをしながら手で扱いた。
「ふ、久遠さ、はあ、はあ」
久遠はワイシャツのボタンをいつも三つ開けている。きれいに浮き出た鎖骨へ、社員は舌を這わした。
ボタンを徐々に外していくと、褐色の肌が現れる。
「久遠さんの裸、見たいです…っ」
他の処理課とは違いきっちりスーツを纏っている久遠。着衣のままの方がエロスを感じさせるが、久遠の裸は禁忌のようにも思え、やはり見たくなった社員はそう言った。
「俺は脱がない。見たいなら、お前が脱がせ」
社員はそう言われて久遠のベルトに手をかけた。普段の処理課は下着すら身に付けていないため、ベルトを外す行為は社員を新鮮な気分にさせた。
スラックスと下着を脱がすと、ワイシャツ一枚羽織っているだけの姿になった。いつも処理課で見慣れている格好だったが、社員はそれすらも脱がして、久遠を丸裸にさせた。
褐色の肌がやけに色っぽく見えた。
「きれい、」
社員はそう言って、肌をなぞった。
頬や首筋にキスをしながら、ペニスを久遠のそれに擦り付ける。また久遠は手で互いのペニスを掴み一緒に擦り上げた。
久遠の裸体に興奮した社員は、また射精をした。久遠の体に精液が付着する。
「あー…えろ」
褐色の肌に白い精液はよく映えた。
この肌に精液を掛けまくり白くさせたいという願望に社員はかられた。
「久遠さん、挿入てもいいですか?」
「…俺は慣らしてねぇぞ」
「俺がやりますから」
社員はそう言って久遠を後ろに向かせた。久遠はデスクに手をついた。
社員は突き出された久遠の尻をわし掴みアナルへ舌を這わした。
「ん…っ」
初めて久遠が声を漏らす。
舌で辺りをレロレロ舐め回し唾液で濡らしてから、吸った。
「はぁ…っ、ぁ、ん…ん…」
擽ったそうに体をねじる久遠。
社員は舌を尖らせアナルへ入れた。
「んんっ、は、ぁ…」
舌先を動かし入口辺りをふやふやにさせてから、次は指を挿入した。
内腿が震えている。
「ぁ…ーーっ、ふぅ…っ」
指先を動かすと久遠の息が荒くなる。
掻き回してから一度抜き、次は二本挿入する。
「はっ、んんっ…はぁ…っァ、ぁン」
「久遠さん、あぁ挿入れたい…っ」
久遠のかすかに漏れる声とひくつくアナルを目の前に、社員の息も荒くなる。息がかかると、久遠もアナルをきゅんきゅんさせた。
「も、もういいですか?ね、ね?」
社員はペニスでアナルをつんつん突いた。
「とっととしやがれ…、っ!あっ!」
久遠の許可を聞いた途端、社員はペニスを挿入した。
「んぅ…っ、はっ、んん…ぁ…あ」
ヌプ、ヌッ、ヌチュッ
ゆっくりとペニスが中へ入っていく。
「はぁー…っ、ぁ、熱…っ」
「久遠さんの中、締まる…っ」
根元まで入ると、社員は出して抜いてを繰り返した。
久遠の荒い息遣いまでが、社員の気持ちを昂らせる。
たまに漏れる声も、男らしい大人の色気があり、たまらなかった。
「声…もっと声、聞きたいです」
「んん、はぁ、はぁ、そりゃお前次第だろーが…っ」
久遠にそう言われて、社員は激しく腰を動かした。
ヌチャヌチャとペニスがアナルを出入りする音が処理課に響く。
「久遠さん、久遠さんん!」
パンッパンッパンッパンッパンッ
「は…っん、ん、ァ…っ猿野郎が…、〜〜っ!」
社員がまたもや告げずに射精する。
ドピュドピュと中へ出されてしまった。
ペニスが抜かれると内腿にたらりと精液が垂れた。褐色に白い精液、きれいな色をしたアナルはひくつく。
久遠の体はさすが処理課の課長だけあって、いやらしかった。
「まだ、収まんない…っ」
五度目の射精を終えても、社員のペニスは元気にしている。
久遠は舌舐めずりして笑った。
「俺がシてやってんのにこの糞ちんこ。搾りとってやらぁ…」


「あ!あ!久遠さ、もう出ないです!もう…っ」
「ちんこは勃ってんだろーが、おらっ!」
社員の上に跨がり、久遠は腰を振った。激しい腰つきに社員は痙攣しながら、透明な液体をペニスから出した。
久遠の言う通り、社員は搾り取られるほど久遠に処理されたのだ。
驚くべきところは、社員のテクニックだけでは喘がせる所か久遠をイカせることすら出来なかったことである。
もはや遅漏のレベルを超えるものだった。
カラカラになった社員は自力で動くことが出来ず、処理課の床で寝転んだまま立ち上がれなかった。

性欲処理課でありながらまったく処理の噂が出ない久遠。
それは一度処理を頼めば出なくなるまで搾り取られ、羞恥として感じた社員たちがそれを隠すからであった。
処理課慰安旅行中、十数名ほどが久遠に処理を頼みに来たが、話題は広まることがなかった。


「課長ただいまぁ!」
慰安旅行から無事帰ってきた処理課一同が帰宅する前に処理課へ顔を出した

佐倉がパタパタと走り久遠へ抱き付いていく。
「おー!変なオヤジに付きまとわれたりしなかったか佐倉!」
小さい体を抱き上げて身の安否を確認する久遠。処理時の色気を押し殺したスーツとサングラス姿で皆を迎え入れた。
「これ、おみやげッス!」
新穂が木刀を手渡した。
「すいません課長。この二人が木刀にするって聞かなくて…。ちゃんと他のおみやげもありますから」
隣ですかさず東雲が口を挟む。
「課長ぉ!これで僕たち守ってね!」
「守る守る!まかせとけ!」
佐倉の笑顔にデレデレしながら久遠は木刀をブンブン振った。
「久遠さん、処理は大丈夫だったんですか?」
雪村が行く前にも気にしていたことを言った。
「余裕余裕!んなことよりメシ行くぞ!」
その日は処理課全員の大所帯で食事をしに行った。

おみやげの木刀は、久遠が普段から持ち歩くようになり、久遠に近付く者がまた減っていったのだった。


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