温泉旅行で


「番組で温泉旅行のペアチケットが当たったんですけど、一緒に行きませんか?」
と誘ってきたのは若手俳優の神谷祐二くんだった。
仲良くしてて今までにも温泉旅行は何回か行ったことがあるが、最近告白され襲われるようになってからは俺はどこか警戒してしまうところがあった。
好きだと言われている相手と温泉旅行なんて、体を許しているのと一緒なのでは、そう思って俺は言葉を濁した。
そんな俺の様子を見て、祐二くんはくすっと笑う。
「ウサさん、もしかして僕のこと警戒してます?」
完全図星。
恥ずかしくなって顔が赤くなった。
「正直、今回は下心抜きです。実は仲が良い俳優仲間が映画やドラマの撮影で忙しくって。あと仲が良い人って言ったらウサさんしかいないから…」
下心抜きです、と言われて、それでもなお疑うほどのことは何故か出来なかった。
元々仲が良かったのは本当だし、俺はこれからも、祐二くんとは今まで通り仲良くしていきたいとは思っている。
俺は祐二くんの言葉を信じて、誘いを受けることにした。


当日、旅館のフロントでチェックインしていると、騒がしい声がロビーから聞こえてきた。
祐二くんと二人して声の方を向くと、見たことあるスタッフや、撮影に使う機材などが見える。
「あれ。何かの撮影ですかね?」
祐二くんの呟きに何故だか嫌な予感がした。
目を細めて、スタッフの群れの奥にいる人物を確かめた。
「あ…。岡崎さんと夏目さんだ」
まさかの先輩芸人の姿があった。
岡崎さんと夏目さんと言えば、二人でやっているバラエティー番組がある。
隣にいる女もいつもアシスタントをしているグラビアアイドルだ。
例の番組だろうか。
じっと見ていると、岡崎さんと目が合った。
「おい、ちょっとあそこ!」
岡崎さんが俺の方を指差すと、スタッフもカメラも全員が俺たちの方を向いた。
「ウサやん!」
「後ろ神谷祐二じゃん」
岡崎さんと夏目さんが騒いで近付いてくる。
「プライベート?」
「あ、プライベートです」
「すげぇ」
夏目さんがケラケラ笑っている。
その後ろから、すごい視線を感じて、なんとなく目を向ける。
「あ」
どうやら祐二くんも気付いたらしい。
「瀬戸さんもいたんですね」
小さな声で俺にそう呟いたが、俺は返事をしなかった。
瀬戸も驚いた顔で俺を見ていたが、カメラの前なのに、何も絡んで来なかった。


「ロケがあったなんて全然知りませんでした。本当偶然でしたね」
部屋に入り、荷物を床に置きながら祐二くんは言った。
ある程度岡崎さんたちと絡んできたが、なんだか俺はもやもやしていた。
「さっきの、放送されますかね?」
祐二くんは楽しそうに話している。
「…どうかな」
ぼんやりしながら返事をすると、祐二くんが俺の目の前でパンッと手を叩いた。
「どうしたんですか、ウサさん」
「…え?」
「せっかく旅行に来たんだから、ごちゃごちゃ考えるのはやめにしましょう」
祐二くんはドラマで見たことあるような、爽やかな笑みを見せた。
「僕、今日の旅行、凄く楽しみにしてたんですよ」
「…、そうだな。ごめん。俺も楽しみだった」
浴衣に着替えて温泉入りましょう、祐二くんはそう言って服を脱いだ。
窓の外では、岡崎さんたちのロケが行われていた。

そのあと、温泉にゆっくり浸かり、マッサージもしてもらい、二人で旅館の豪勢な食事をいただいた。
行動する度にどこかしらでロケ隊を目にしたが、最初の絡み以外あちらから絡みにくることはなかった。
祐二くんとたわいない話で盛り上がり、心のどこかではまた隙を見て襲ってくるかもしれないと思っていたが、とうとうお互いの布団に入って電気を消しても、そんなことはなかった。


「……………」
祐二くんの寝息がすうすう聞こえてきても、俺はなかなか寝付けなかった。
結構夜更かしして話し込んでいたから、すぐ寝付くだろうと思われたが、瞼は全く閉じる気配がない。
携帯で時計を確認すると、三時だった。
俺はのそのそと布団から出て、祐二くんを起こさないように部屋を出た。
廊下は夜でも明るくて、自動販売機の音もしていて、静かな夜から抜け出せた感じがした。
一階に売店があったのを思い出して、エレベーターに乗ることにした。
四階から下がってきたエレベーターが、チンッと音を立てて開く。
「………あ」
踏み出そうとした足が止まった。
エレベーターには瀬戸が乗っていた。
俺が戸惑って立ち止まったままでいると、瀬戸は「早く乗れよ」と静かな声で言った。

エレベーターの中の沈黙を破ったのも瀬戸だった。
「…爪切り借りようと思って」
「…俺は…、酒と…つまみでも買おうと思って…」
下手くそな会話は、エレベーターのチンッという音で終了した。
扉が開くと、瀬戸はフロントの方へスタスタ歩いていった。
俺は売店へ行こうと歩き出すと、売店の電気は真っ暗だった。さすがに深夜はやってないらしい。
「……………」
立ちすくんでいると、爪切りを借りた瀬戸が戻ってきた。
「部屋にビールあるけど、飲むか?」
飲まない。部屋に戻る。おやすみ。
そう言うべきなのかもしれない。
祐二くんが旅行に誘って来た時に警戒したように、今も警戒すべきだ。
ホイホイついて行ってはだめだ。
そう思ったが、俺は何故だか瀬戸に対して罪悪感があった。
祐二くんと旅行に来たという罪悪感だ。
なぜだか瀬戸に対して、悪いことをしているな、と思っていた。
俺は瀬戸を冷たく突き放してしまうのが、なんだかみじめに思えて仕方がなかった。
なぜだか、旅行に来たことに対して、許しを貰わなければいけないと思ってしまった。
ご機嫌を取らなければいけないと、思ってしまった。
「…飲む」

案の定、瀬戸の部屋に入った途端に、俺は壁に押し付けられて、キスをされた。
逃れようと移動するが、瀬戸は無理矢理舌を捩じ込んできて、俺を離さないよう手まで押さえ付けてきた。
「や、…っ、せ、とぉ…っ、やだ…っ」
暴れ、押さえられ、キスをされ、逃げて、繰り返していくと最終的にベッドへ押し倒された。
電気は真っ暗なままで、瀬戸の顔はわからなかったが、この力強さから見るに、怒っていた。
口を塞がれたまま、瀬戸の手が俺の帯をほどいていく。
止めようと手を掴むが、無理矢理ほどかれ、浴衣がはだけた。
瀬戸の手が俺の肌を撫でる。
瀬戸の腕を掴んで、爪を立てると、瀬戸は俺の口からやっと離れて顔を上げた。
「なんだよ、瀬戸…っ、やめろよ…っ」
「俺の部屋に来て何もされないと思ったのかよウサ…、いい加減わかるだろ」
瀬戸はそう言って俺の首筋から鎖骨へ順番に吸い付いてくる。
「っ、そんな、つもり…っねぇよ…!」
引き剥がそうと髪の毛を掴むが瀬戸は離れない。
それどころか、俺の乳首をレロッと舐めやがった。
「あんっ」
体がびくっと跳ねてしまう。
「やっ、やめろ…っ!それ、やだ…っ」
舌でころころ転がされて俺は悶える。
引き剥がしたいのに力が抜けてしまう。
瀬戸の髪の毛を掴んでいたはずの手はいつの間にか空気を握っていた。
「俺、怒ってんだよウサ」
瀬戸は顔を上げて俺を見た。表情はわからない。
瀬戸の両手は、俺の乳首を両方とも強く摘まんだ。
「あっあっいっ…あぁんっ!」
ぐりぐり弄られて痛くてじんじんする。
「神谷くんと付き合ってんの?」
「あっあんっ、ちっが…!付きっあぁんっ合って、な…っ!んぁあっ」
「じゃあ好きなのか?」
「ひっひぃんっあっあんっそ、んな、じゃ…んっんぁ、ぁあっ!」
「…喘いでごまかすつもり?」
瀬戸はやっと俺の乳首から手を離した。
俺は息を整えようとするがなかなか乱れが取れない。
「はぁ…っはぁ…っ、瀬戸…っ、はぁ…っはぁ…っ!やだ…っ、はぁっ、やだぁ……っ」
「…こんなしといてよく言うよ…」
瀬戸が俺のちんこを下着越しに撫でた。
乳首を弄られてたせいで俺のちんこは勃起していた。
これは不可抗力だ。仕方がないんだ。
だけど俺が喜んでいるようにしか捉えられない。
瀬戸は俺のびちょびちょになった下着を脱がしてきた。
暴れたいが力が出ない。
瀬戸に簡単に脚を開かされる。
「な、神谷くんも、ここ触ったことある?」
瀬戸が俺の穴を指でなぞる。
ないよ、と嘘をつけばいいのに否定の言葉が出なかった。
何も言わないのが答えになってしまったみたいで、瀬戸は舌打ちした。
そして俺の穴を舐めだした。
「あっ!やっやめっ!ああぅ!」
舌が入り込んでくる。いやらしい音を立てて瀬戸はれろれろ舐めてくる。
「やんっやだっ舌いやぁ…っ!あっああっ!」
「じゃあもう挿れるよ、それでもいいの」
「あっやだっあぁっ!全部やだ…っ!あっあぁんっ」
ぢゅるるっと吸われてゾクゾクッと快感が走った。
そして俺のちんこを、瀬戸は擦り上げた。
「あっあんっあっあっやぁんっ」
「ちんこも穴もぐちょぐちょじゃん、ウサ」
「あっだ、めぇ…っあんっちんこくしゅくしゅすんなぁ…っや、だぁっあぁんっ」
イきそう、そう思った時に瀬戸の舌と手が俺から離れた。
「っ、あっ…は…っ」
イきそこねたちんこがビクビクしている。
瀬戸を見るが瀬戸は俺に触れようとしていなかった。
「な、に、瀬戸…っ」
「嫌なんだろ。部屋に戻って神谷くんにイかせてもらえよ」
いきなりぶっきらぼうに言われて俺は戸惑った。ここまで手を出したくせに今更なんだこいつ。
「わかんねぇよ、もう…。俺、ウサのこと好きなんだよ。知ってるくせに、嫌なんだったら、のこのこ来んなよ…」
瀬戸は頭をバサバサ掻いた。
瀬戸の言うことはまぁ、もっともだった。
「俺…瀬戸が、落ち込んでるかもしれないって、思って…だから……」
「なんだよそれ…」
「襲われるかもって…っ、思ったけど、でも、瀬戸が、傷付くの、嫌だったから…っ、俺…っ」
瀬戸は、ゆっくり俺に覆い被さってきた。
俺の頬を、熱い手でゆっくり撫でた。
「ウサは、誰が好きなんだ」
「…、わ、かんね…っ」
「俺は、お前が好きだ」
「…っ」
「本当は部屋に戻って欲しくない。俺でイッてよ、ウサ…。嫌だなんて言うなよ…」
首や頬に降ってくるキスの雨が、瀬戸の涙の代わりなんだろうか。
俺は、誰のことが好きなのか全然わからなくて、瀬戸にも祐二くんにも思わせ振りなことしちゃって、どうしたらいいかわからなかった。
「ごめん…、俺…、自分がわかんねぇ…っ」
「ウサ、」
「でも…っ、とりあえず、今は最後まで、責任取れ…っ」

俺の自分勝手な意見に、瀬戸は文句を言うどころか逆に謝りながら、俺の中に入ってきた。
「はっ、あっ、ウサ…っウサ…!」
「あっあんっあぁあっ!あぁんっ!」
瀬戸のちんこは熱くて、かたくて、俺の中をごりごり擦ってくる。
「好き、好きだ…っ、ウサ…っ」
そう言われると、なぜだかとてつもなく気持ちが良かった。
キスをされるとちんこが奥までぐっと来て、おかしくなりそうだ。
「はぁ、んっあぁっんんっあっあっあんっあはぁんっ、んぁあ」
「はぁ…っちんこと乳首、どっち触って欲しい…?」
いやらしく囁かれて俺は耳を塞ぎたくなる。
「やっ、そ、んなこと…っあぁん」
横を向いたら耳を舐められた。ゾクゾクする。
「んっあっひっ、ち、くびぃ…っ乳首触って欲しい…っ」
「ちんこじゃなくていいの?」
「はっあっ、じ、ぶんで、触るから…っ乳首してぇ…っ」
なんてこと言わせてくれるんだこいつは。
そう思いながらも乳首を弄られると腰が砕けそうなくらい、気持ちよさの波が来た。
俺は自分のちんこを握って擦り上げた。
「あっあぁんっひぃっひぃんっあぁあ〜っあぁあんっ」
「す、ごっ、めっちゃ締まる…っ」
「あっあっ瀬戸っせとぉっ!イッちゃっはぁんっイッちゃうっもぉ無理ィっああぁあんっ」
「ウサ、エロい…っ」
俺が射精すると、瀬戸も何回かパコパコ腰を振ってから中に出してきた。

瀬戸の射精が終わって、改めて瀬戸を見ると、真っ暗だった部屋が少し明るくなったようで表情が見えた。
夜明けに近付いているようだ。
瀬戸は不安そうな顔で俺を見ていた。
「ごめんなウサ…。俺、お前のこと大切にしたいって思ってるのに…嫉妬で前が見えなかった…」
なおも謝り続ける瀬戸に、申し訳ないという感情が生まれる。
「いや…俺が…中途半端だから……ご、」
ごめん、と言おうとしたが、言葉を飲み込んだ。
途中で止まった俺を瀬戸が不思議そうな顔で見てくる。
「…なんか聞こえる…」
「え?」
「部屋の外だよ」
俺と瀬戸は二人して部屋の扉の方を見た。
必死で耳を澄ませると、微かだが話し声が聞こえる。扉の前でだ。
「ドッキリじゃねぇか?」
岡崎さんと夏目さんの番組で度々あるのが寝起きドッキリだ。
時計を見ると四時半過ぎ。来てもおかしくない時間だ。
「や、やばいっ」
俺たちは脱いでた浴衣を急いで身に纏った。
瀬戸はにおいを消そうと消臭スプレーを部屋中に吹きまくる。
「お、俺どうしたら…っ」
「クローゼットに隠れろっ」
俺は急いでクローゼットの中に入った。
瀬戸がベッドに寝転がり、寝たふりを始めた頃に、何人かが部屋に入ってきた音が微かにした。


岡崎さんと夏目さんの奇襲が終わり、廊下に人の気配がなくなった頃に、俺は急いで瀬戸の部屋から飛び出した。
瀬戸とはろくに会話をせず、結局俺と瀬戸の気持ちの整理がつくこともなかった。

人目を気にして祐二くんがいる部屋にそっと戻った。
「んっ」
バタバタ動いていたせいで、瀬戸に中出しされた精液が垂れてきた。
そう言えば慌てていたせいで下着を着けずに帰ってきてしまった。
とりあえずシャワー室で掻き出そうとそっと行動していたら、静かな声で名前を呼ばれた。
「…祐二くん…」
寝ていると思っていた祐二くんがばっちり起きていた。
今起きたというよりは、結構前に起きていて俺を待っていたというような感じだ。
「どこ行ってたんですか」
「…あ、いや、ちょっと寝付けなくて…んっ」
またどろっと精液が垂れてきて俺は思わず声に出してしまった。
祐二くんの顔が強張る。
「ウサさん、浴衣の裾、寝る前はそんなに長くなかったですよね」
祐二くんの言葉にはっとして裾を確認する。あきらかに長かった。俺のじゃない。瀬戸のだ。慌てて着た時に入れ違ったんだ。
俺の様子を見て祐二くんはかっとなったのか、強く手を引っ張られ敷布団の上に乱暴に寝かされた。
そして抵抗する隙もなく、俺の脚を掴み大きく開かされた。
下着を着けてない俺の尻は丸見えになってしまった。
穴から精液が垂れているのも、もちろん丸見えだ。
「寝付けなくて瀬戸さんとセックスしてきたってことですか?」
「ち、ちが…っ」
「何が違うんですか、下着も着けずに中出しされたもの垂れ流して」
あんなに爽やかな笑みを浮かべる祐二くんが、めちゃめちゃ怖い顔をしている。
「酷いですよ…、僕はずっと我慢してたのに…」
「祐二くん、ごめん、あの、」
「寝てる間に違う男に食べられてるなんて、屈辱です…」
祐二くんはきれいな顔をぐちゃぐちゃに歪ませた。
瀬戸のことを傷付けたくなかったが、祐二くんにもこんな顔をさせたくなかった。
俺ってこういうとこがダメなんだろうか。
「僕との旅行なのに…今日すら独り占めさせてくれないんですか…?」
「祐二くん…っ、俺…」
「ごめんなさい、優しく出来ません」
祐二くんはそう言って、俺の中に乱暴に入ってきた。
「あっ、あぁぁ…っ!」
遠慮なくズブズブと奥まで挿入されて俺は震えた。
祐二くんの顔から余裕なんてものはなくて、怒りや必死さが滲み出ていた。
はじめからガツガツ突かれて、俺はごりごりされる度に声を上げた。
「あっ!あっ!あんっ!あぁっゆ、じくんっあぁあっあぁん!」
「っ、あっ、くっ…っんんっ」
祐二くんの吐息が、いつもなら色っぽく感じるだけなのに、今は悲しく思えた。
「ひっひぃんっは、げし…っ!あぁあっあんっあぁあんっ」
前戯が多い祐二くんが、全くそれをしなくて、俺の感じる場所を突き上げるはずが、自分が気持ちいいように腰を振る。
祐二くんが確実に今怒りを露にしているのが感じ取れた。
「んっはぁ…っ!」
「あぁんっ、あつ…っ」
祐二くんが何も言わず俺の中で射精した。
そしてちんこを抜くと、また萎えたちんこを擦り勃起させて、四つん這いにさせた俺にすぐ挿入した。
「やっやんんっもっ無理ィっあぁんっ」
若さ故か、祐二くんはまた激しく俺を突き上げた。
腰を掴む手が熱くて、痛かった。
パンパンッと激しい音がする。
そして出し入れされる度に精液が泡立ってぐちょぐちょといやらしい音を立てていた。
「あはっあはっはぁあんっあんん祐二くっ祐二くんっあぁあんっ」
激しすぎて耐えきれず、腕で支えられなくなり布団に伏してしまう。
それでも構わず祐二くんは腰を振る。
「あっあっあはぁっ出るっ出ちゃうっあぁあんっ」
びゅるるっと精液が飛び出て布団を汚す。
イッた俺にもお構いなしに、祐二くんは抜き差しを続ける。
「あっあぁ〜っらめっ今イッたからぁ…っ!今らめぇえっあはぁあんっ!」
脚がガクガクする。そんな中でも祐二くんは俺を責め続ける。
「瀬戸さんの前でもそんな声出してたんですか…っ」
「ひっんぁっぁっんんっ、ち、が…っあんっ」
祐二くんはちんこを抜いて俺の体をまた仰向けにさせ、またちんこをはめる。
必死な顔のまま近付いてきて、無理矢理キスして舌を捩じ込んでくる。
相変わらずキスが上手くて、それだけでも蕩けそうになるのに、ぱちゅぱちゅ中を突かれて、俺は怖くてシーツをぎゅっと握った。
「ゆ、ひふ…っあっぁっぁっぁぁん」
「弘樹さん…、」
「はぁっら、めっ奥っ突くのらめぇっ」
「…そんな顔も瀬戸さんに見せちゃったんですか…?」
祐二くんが俺を見つめる。
悲しそうな顔を見て、俺の心はぎゅっと締め付けられるくらい痛くなった。
「好きです、弘樹さん…っどこにも行かないで…っ」
「あっあんっぐちゅぐちゅしちゃっらめっあっあんっあんっあんっ!」
「僕の全部あなたにあげる」
祐二くんが熱い目で俺を見た。
そして中にまた祐二くんの精液が注がれる。
「あぅっあぁっもっいっぱいぃ…っんぁあっ」
びゅるびゅる注がれて、中がいっぱいだった。
なのに祐二くんは、抜かずにまた腰を動かした。
精液を中に擦り付けるようにぐりぐり掻き回される。
「ひんっひぃんっもぉっらめっ入らないぃ…っ」
「弘樹さん…っ、僕と瀬戸さん、どっちが好きですか?」
「あっあんっわかん、なっひっあんんっわかんなぃいっ」
すごく避けたい質問をされて俺は本当に嫌だった。
瀬戸が好きか、祐二くんが好きか、それがわからないから俺はこんなにも中途半端なことをしてしまうんだ。
「駄目です…どっちか答えて」
「やらっむりっあんっむりぃ…っ」
首を振って嫌がっても、祐二くんは諦めようとしなかった。
「ちゃんと答えて、弘樹さん…っ」
「ふっあうっ、あっあぁっ」
俺は無意識のうちに泣いていた。
答えを出すのが本当に嫌だったから。
俺がどっちを好きかなんて、俺にもわからないのに。
「…嘘でも俺って言えばいいのに…っそれも言えないんですか…っ」
祐二くんの手が俺の乳首に触れた。
そして強くこりこり弄られる。
「あんっあはぁっイッちゃう…っ!れちゃうぅ…っ!」
目の前がチカチカした。
頭がぼうっとして、目の前の祐二くんの顔がぼやけていった。


結局俺は気を失ってしまって、目を覚ました時に祐二くんにめちゃくちゃ謝られた。
またもや襲ってしまったことを祐二くんはかなり気にしていて落ち込んでいる。
いつも俺はそれを忘れるようにして、何事もなく接していくスタンスをとっていたが、今回はそう思えなかった。
襲われては被害者意識で俺は悪くないと思っていたが、そうではないのかもしれない。
瀬戸も祐二くんも、俺が中途半端な態度で二人の気持ちをかき乱すようなことをしているから、毎回こんなことになってしまっているんじゃないだろうか。
なんだかようやく気づいた気がする。

「……いい加減にしろよな、俺」

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