若手の秘密


真横は線路が通ってて、なのに駅に近いわけじゃなくて、唯一近くにあるコンビニは品揃えがすごく悪くて、洗濯機は部屋の外だし、台所はすげーちっさいし、つーか部屋が1Kで狭くて、壁とか屋根とかボロボロで、床もすっかり色褪せた畳で、そんな汚いアパートに、俺は相方の鳴瀬と同居している。
二人で世界中をめちゃくちゃ笑わせてやろう!っていう意気込みから俺たちは芸人になった。
深夜番組にちょろっと出させてもらえてるくらいで、俺たちはまだまったく知名度がない。
どちらかといえば、飲食店のバイトの方が主になるくらいの勢いで芸人としての仕事は少ない。
それでも俺と鳴瀬は、頑張ってネタを考えて漫才の練習をしている。
そう、ちゃんと夢に向かって頑張ってるんだ。
だけどたまーーに、変なことをしてしまう。
例を挙げると、抜き合ってたりする。

「んはっはぁっあっんはぁっんひぃ」
鳴瀬はだらしない顔をして声を漏らす。
正直うるさい。
俺のちんこを擦り上げるのも早すぎて痛いし、勝手に気持ちよくなりやがって少しイライラする。
「鳴瀬うっせぇよ…」
「なぁ、樋川、俺、やりたいことあるんだけど」
「なんだよ」
鳴瀬はそう言って俺に体勢を指示した。
後ろ向いてだの手をついてだの、全部聞いたあと気づけば四つん這いになって鳴瀬に尻を向けていた。
「ちょ、なにする気だよ」
今までお互いのちんこを擦り合って抜くだけだったのに、鳴瀬がなにかしでかそうとしてるから俺はだんだん焦ってきた。
鳴瀬は俺の腰を掴みながら息を荒くする。
「俺、この間夏目さんに聞いたんだよ」
「なにを…」
「アナルって気持ちいいんだって」
「はあ!?」
鳴瀬はそう言って俺の穴にちんこを擦り付けた。
「や、やめろっ!無理!シャレになんねぇっ!」
暴れると鳴瀬は上から覆い被さってきて俺を押さえ付けた。
「いやだ!鳴瀬っ!あっ!」
穴にぐにゅっと押し込まれた。
小さい時に母ちゃんに座薬を入れられた時の不快感以上のものがある。
「あっあぁあきっつ!やっべぇえ」
鳴瀬は嬉しそうな声を出しながらぐにゅぐにゅとちんこをさらに奥へ挿入してくる。
「う、そだ…ろ、んあっ!」
中にびゅるるっと熱いものが流れ込んでくる。
俺は血の気が引いた。
「おい、鳴瀬お前…っ」
「やべ、で、出ちゃった…はぁっ」
俺の中で鳴瀬はあっという間にイキやがった。
なにがアナルは気持ちいいだ…、まんこにも入れたことないくせに。
「おい…っ、早く抜けよっ…!」
鳴瀬は俺の上ではぁはぁと気持ち悪い息を吐きながら全然抜こうとしない。
それどころか、小刻みにまた腰を振りだした。
「せ、せっかくアナルに入れたんだからもっかいヤらせてよ」
「ふざけんな…っ!自分勝手すぎんだろ!」
俺の叫びも無視して鳴瀬はパコパコ腰を振る。
俺のちんこはすっかり萎えた。
「あぁーっ、すげぇいいっ、締まるっきっつきつ!あぁっはぁっんんっあぁー!やべぇ」
相変わらずうるさい鳴瀬。
一体俺はどういう気持ちでこの時間を過ごせばいいのかわからない。
「くそ…、しね、しね…っ」
呪文のように呟くが鳴瀬の気持ち悪い喘ぎに消されていく。
「なっ、樋川、お前も、気持ちいいか?なぁ?」
「んなわけねぇだろクソ死ね…っ」
「んん、おかしいなぁっ」
そう言って鳴瀬はちんこで中を掻き回すように動いた。
「んぁっ!?」
ある一点を鳴瀬のちんこが擦った時体がびくびくっと反応してしまった。
「えっ、どこっ?今のどこ?ここっ?」
俺の反応を見て鳴瀬はまたぐいんっとちんこで掻き回す。
「あぁっ!」
「これっ?ここっ?」
「あっあっ!や、やめろっあぁっ!」
「ここかぁ気持ちいいとこ!」
鳴瀬は調子に乗って何故か俺が反応してしまうところをちんこでずんずん突きまくってきた。
「あぁっやっやめっあっあっあっ」
「樋川の声っやらしぃっ!あぁっなんかっ、セックスみたいっ」
俗に言うアナルセックスだということに気付いていない鳴瀬。こいつアホか。
クソみたいな声を漏らしながら鳴瀬は俺の反応が楽しいらしく執拗に一点をごりごりする。
「ひっあっそこっやめっあっあぁっひぃっあぁっ」
何故か勃起している俺のちんこ。
鳴瀬が腰を動かす度にシーツに擦れて変な感じがする。
「ああっ樋川っアナルやばいっちんこ溶けちゃいそうっ!」
「うる、せっあぁっ腐れ落ちろっあぁっあっあんっあんっ」
自分から出る声が鼻にかかって上擦りすぎてて気持ち悪い。
うるさい鳴瀬も、穴に入ってる腐れちんこも、自分の声も全部気持ち悪い。
俺は漫才でこいつにいつもつっこまれてたが、まさかちんこまでつっこまれるとは思わなかった。
だめだ、こんなのじゃあ、やってけない。
頭にぼんやり浮かんだ夏目さんの顔。
あの人は本当ろくなことを教えない。
同じ事務所の先輩だけど、本当にあの人は、仕事のことにはなんも口出ししないくせに、こういうエッチな話は大好きなんだから、本当、ろくなおっさんじゃねぇ。
文句言いに言ってやる…。
「あぁっあぁっ樋川っ樋川ぁっあぁぅイクイクイクっ!またイクぅっ!」
「あっあっやぁんっあっあぁっあひっひぁっやめっあぁあんっ」




「イッたんなら文句言うんじゃねーよ

墓場まで持っていこうとも思ったが俺はやはり腹が立って、たまたま夏目さんと会った時に鳴瀬のアナル奇襲事件を話した。
散々大声で笑った夏目さんに文句を言ったらぶっきらぼうな言葉を返されてしまった。
「結局気持ち良かったんだろ?」
「でも俺は大事なものを失ったんですよ!」
「おめぇのケツの貞操なんか、なんの価値もねぇっつーの」
夏目さんは小指で耳をほじくる。
「とにかく、夏目さんから鳴瀬に言ってくださいよ!相方のケツは使うなって!じゃないとまたあいつ俺を…」
「いいじゃんべつに。普段からつっこまれてんだから、ケツにくらいつっこまれても同じようなもんだろ」
夏目さんはそう言ってなにも考えてなさそうにへらへら笑った。
それでも文句を言う俺に、夏目さんは少しめんどくさそうな様子で、「そんなに嫌ならツッコミとボケ変えたら?」とよくわからない言葉を吐いて俺を楽屋から追い出した。

それから一ヶ月後、俺と鳴瀬は夏目さんの番組に出演することになり、なんとなくツッコミとボケの役割を変えて漫才をしてみたところ、想像以上にウケた。
なぜだかそれから仕事が増えていき、鳴瀬はかなり喜んでいる。
金が出来て、鳴瀬は風俗に行くようになり、俺の貞操はなんやかんやで守られた。


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