おやつのジャンクフード


 パン特有の香ばしさ、成熟肉の濃厚な香り。食欲をそそるにおいで満たされていくキッチン。私はサンジが調理を終えるのを、本のページをゆっくりとめくりながら待っていた。
 ここに来るまで特別空腹でもなかったし、サンジにお願いしたメニューは正直胃がもたれると思っていた。けれど、本を盾にしながら目の前でできあがっていく過程をちらちらと盗み見ているうちに、お腹が「私も食べたい」と主張し始めた。

「ねぇサンジ! 私にもそれ、作ってもらえないかな」
「えっ!? ユメちゃんがフランキーに差し入れをって言うから作ったんだぞ、こんな高カロリーなジャンクフードを食べさせるわけにはいかねェ!! 考え直さねェか?」

 想像を上回る猛反対だ。まさかこんなに拒否されるなんて思っていなかった。それでもサンジの手元は手際よく動いていていよいよ最終段階。溢れんばかりの肉汁とその上でとろけるチーズに調味料をかけて、キレイな色に焼けたバンズに挟んだ。トレイにペーパーナプキンを敷き、できあがったあつあつの特大チーズバーガーをそっと置いた。

「ほら、完成だ。熱いうちに持っていくといい」
「……」

 うん、何度見ても美味しそうだ。もちろんカロリー爆弾だけれど、それゆえによだれが口の中で量産されている。食べたい。人間は食べたいときに食べたいものを食べたほうが精神衛生上いいと思うのだ。
 口を固く結びジ〜っとトレイの上のカロリーの塊を見つめた後、私はもう一度サンジへと視線を向けた。絶対に食べたいのだと強く念じながら。サンジはギョッとしたように目を大きく見開き、タバコの煙をゆっくり、大きく吐き出した。

「ユメちゃん……本当にこれを食うつもり?」
「何ならフライドポテトも食べたくなってきたよ」
「ポテトまで!?」
「とりあえずフランキーにこれ届けてくるから、期待してるね」


 ウキウキでキッチンを出て無事にフランキーにできたてアツアツ特大チーズバーガーを届け終えた私は再びサンジの元へと向かう。きっと、ああは言いながらも美味しい美味しいバーガーを作ってくれているはず。
 そうだ、あの試作品のシロップを炭酸水で割って、素材をちょい足しし、シナモンスティックを添えたらちょっぴりコーラっぽくなるだろうから、それを一緒に飲もう。
 くるりと華麗にターンを決めてラボに寄り、カゴにあれこれと必要なものを入れいざキッチンへ。できあがっているであろう昼食に思いを馳せていると「おい、ユメ屋」と後ろから声をかけられた。

「わっ! って、トラファルガーか! びっくりしたなぁ」
「この程度で驚くとはこっちが驚きだ」

 トラファルガーは怪訝そうな表情で「海賊のくせに」と付け足すと口元をピクリとひきつらせた。人が素直にびっくりしただけなのに……なんだか妙におかしくなってふふ、と笑ってしまった。

「何笑ってんだ」
「べっつにー!」

 私はちゃーんと海賊だと認識されていたのだ。懸賞金だってナミとトントンだし、なんなら戦闘能力は今となってはナミのほうが上だろう。ちょこまか動いているだけで、いつもチョッパーとセットの医学をかじっている助手的な扱いだろうと思っていた。トラファルガーに認められたみたいでくすぐったい気持ちだ。

「そだ、何か用事? チョッパー?」
「トニー屋ならさっき会った」
「そっか、すでに吸ってきたんだね」
「す……う?」

 七武海らしからぬポカンとした表情。どうやらチョッパーを吸う、の意味がわからないらしい。つまりトラファルガーは無意識にチョッパーを吸っている、ということになる。ますます面白い。

「特にないなら、サンジが作ったスーパーなジャンクフードが待ってるから行くね! 待ってろチーズバーガー!!」

 そう言ってキッチンの方へと歩き出した。けれどどうしてか、カツカツと靴の音が鳴っている。私のペチペチしたスニーカーから奏でられる音と混ざり合う。いつまでたっても一定のリズムを刻む高音は、私が止まると止まって、動くと動き出す。後ろからは不服そうな顔でついてくる姿。キッチンに用事があるのかな。

「七武海に背後を歩かれてるとさすがに怖いよ?」
「おれも黒足屋の所に行くだけだ」

 滅多にそんなことないのにと思いながらも「そっか、トラファルガーもおやつの時間かぁ」と納得しながら呟くと「おやつでチーズバーガー、か」と含みを持たせたような物言い。おやつにそれはヤバいと言いたいのだろう。わかってる、わかっているよ。
 それでも食べたいものはしかたないよね。そう言い返そうと思ったけれど、言葉のナイフでざっくりと刺される気がして思いとどまった。
 ペチペチ、カツカツ。同じタイミングで鳴るその足音を不思議と心地よく感じながら、少しだけのんびりと船内を歩いた。



「サンジ、できてる〜?」

 ギィっと勢いよくキッチンの扉を開けると揚げ物特有の香りが広がってきた。カウンターの上にはフランキーに差し入れた物よりも少し小ぶりなチーズバーガーと、お皿にこれでもかと山盛りに盛られたポテト。そして横にはキレイなグリーンの液体、今作ってくれたのであろう野菜ジュースが置かれていた。
 サンジはミキサーを洗っていて、私の声とドアの開閉に気づいたのかパッと視線を上げた。

「ユメちゃ〜ん! バーガーもポテトもできてるぜェ……っておいロー、何でてめェがユメちゃんと一緒に来るんだよ」

 案の定、トラファルガーが視線に入ると不満を漏らすサンジ。またかぁ。私はそのやり取りをスルーしてカウンターにカゴを置いた。

「バーガーのサイズと……このポテトの量に愛を感じるね!!」
「当たり前だろ! ユメちゃんがポテトが好きなのは知ってるし、絞りたて野菜ジュースで偏りも多少はカバーできるからな……って、その荷物、もしかして何か作るつもりだった?」

 私のカゴをのぞき込んだサンジが興味津々と眉を上げた。私は「コーラ風味のドリンクを作るつもりだったんだけど、」と野菜ジュースに視線を向けた。
 すると身を乗り出しながら「コーラ風味ってことは、コーラのようでコーラじゃなくて、体にもいいんだろう!?」と、私がすぐに作業できるようにと洗ったばかりのミキサーやシェイカーをカウンターに置いて、冷蔵庫から炭酸水を取り出した。さすがサンジ、私が炭酸水を使うのだとすぐに把握しての行動だ。

「ありがと! ヘルシーっていうほどでもないけど、主に胃腸の働きを高めるよ! このシロップにショウガ多めに足したらピリッとしたお酒っぽくもなるし」
「……なるほどな。ユメちゃんたち女性陣の料理にはこれでもかってほど気を使っているけど、この前の復活系みたいなガツンと体力をつけたいけど、食べ過ぎも気になるってときに合わせたらよさそうだな」
「サンジの口に合うならこのシロップ、キッチンに置いておくよ。野菜ジュースはもちろんありがたくいただくね」
「ユメちゃぁ〜〜ん! 優しさの塊!! 天使!! っておいロー!! 何どさくさに紛れてユメちゃんのポテト食ってんだよ!」

 飲み物についての話もまとまったところであらためてサンジの怒号が響く。引き続き二人のやり取りを無視してキッチンの内側にお邪魔してグラスを用意する。今回はわざわざミキサーを使わなくてもシェイカーだけで大丈夫だ。
 シロップとちょい足し素材をシェイカーで混ぜてグラスに移し、そこに炭酸水を流し込む。くるくるっと混ぜてシナモンスティックを挿したらあっという間に完成だ。シロップさえできていればお手軽、簡単にできる。
 ところでだ。カウンターの向こうではトラファルガーがお構いナシに私のポテトを食べている。一口ならまだしも、もう三分の一はなくなっている。楽しみにしていた私のポテト。この状況にはさすがの私も文句を言いたくもなる。ちょっと、と止めようとしたところで手を止めたトラファルガーが、何かが足らないな、と言うような表情を浮かべてから口を開いた。

「黒足屋、飲み物」
「それが人にものを頼む態度か?」

 もしゃもしゃとポテトを頬張るトラファルガー。うーん、そんなに勢いよく頬張って食べているということはやはり美味しいということだ。そんな美味しい食べ物のお供にこれは絶対に、最高に合うに決まっている。私は作ったばかりのコーラ風ドリンクをバンッとトラファルガーの前に置いた。

「はい、これどーぞ」
「助かる」
「おいおい、それはおれのだぞ! ロー!」
「まだ作れるから! だからポテト、もう一皿追加で!」

 早くチーズバーガーを食べたい。アツアツのうちに食べたい。素早くシェイカーの残りを全部別のグラスに入れて二杯目を作りサンジに押し付けるようにして手渡す。そしてカウンターの反対側、トラファルガーが座っているベンチへと腰を下ろした。

「さすがユメちゃん、手際が良くて惚れ惚れしちゃうよ! ありがとな!」
「ぽてぇぃと」
「オーケー! ポテトなら任せろ!」
「やった! じゃあ、まずはバーガーから! いただきます!」

 追加ポテトの予約もできたのでバーガーを手に取った。こういうのは遠慮がちに食べてもバンズと具材がずれたりするから気にせず思い切っていったほうがいいと相場が決まっている。
 大きく口を開けて一気にかぶりつく。フワフワのバンズと、ジューシーなお肉、とろける濃厚なチーズ。そこにサンジの特製ソースが絡む。ガツンとした肉の旨みとしょっぱさをバンズが包んで完璧なバランスで存在している。口の中が幸せでいっぱいだ。

「ん、んまひ〜」

 ここでポテトを間髪入れずに口に放り込みたい。そう思って確認するとポテトのお皿はもう残りわずか。ひとまず野菜ジュースを飲みながら考える。うん、次のポテトを待っていられない。私はまるで初めからトラファルガーのものだったかのようにトラファルガーの前に置かれているポテトのお皿に手を伸ばした。

「ユメ屋、おやつはチーズバーガーだけじゃなかったのか」
「ノンノン! 最初からポテトもお願いしてあったもん。人は誰しも脂っこいものを食べたくなるときがあるもの。エネルギーの貯蔵庫とはよく言ったものだよね!」

 そう、今日の私はジャンクフードを欲していた。きっと身体からのサインだ。何度でも言おう。こういうときはしっかり食べたいものを食べておいた方が吉である。

「それにサンジのご飯、美味しいし」
「いやぁ、ユメちゃんにそう言ってもらえるのは最高に嬉しいんだけど、」
「太るぞ」

 ほう。口に投げ入れたところで聞こえてきた「太るぞ」という言葉。きっとサンジの言葉の続きもトラファルガーのド直球発言と同じで、肥えてしまうことを心配するものだったと察する。わかっているよ、消費カロリーを摂取カロリーが上回ったら太るということは。

「そこでこの! 野菜ジュースですよ! ちゃんと栄養バランス考えてくれてるわけだし、脂質を欲してるってことは糖質が不足してるんだって、だから食べろって私がそう言ってる」
「確かに糖質が不足した場合、次にエネルギー源になるのは脂質だか」
「もしかしてユメちゃん、また寝ないで本読んでた? もしくは何か激しい運動とか」
「うわ、バレてる! ってそりゃそうか」

 サンジの考えたメニューをしっかり食べていてなお何かが不足するとしたら、それ以上の消費が起こっている、ということだ。会話からすぐに気づくなんてさすがサンジだ。

「ほら、フランキーとウソップが私の新しい武器を作ってくれるって話になったでしょ? だから私自身もも〜っと体力とか筋力とかつけないとって思ってね」

 私が力こぶを作るポーズをしたところで「お待たせしましたユメちゃん」と、揚げたてほやほやのポテトが目の前にやってきた。ああ、美しく輝くまさに黄金のような山。自然と口元も緩む。「ありがと!」と言ったのとほぼ同時にポテトを口に入れた。

「にしたって、チーズバーガーにポテトじゃ塩分も多いだろ……」
「ん〜! 美味ェ!! ユメちゃん、このドリンク、甘味も控え目でいいのど越しも想像してたよりうんと爽やかだ」
「もっとほかにあったんじゃねェのか」
「これぞ大人のコーラ、って感じだなァ……っていちいちうるせェなロー! そりゃこれ以外にもいくらでもあるさ。だが普段からレディ達の栄養管理は野郎共以上にきっちりしているし、こうして食べたいと言われたものを提供するのも海のコックだ。てめェに言われなくたって塩は控えめにしてある!」
「ならバーガーのパンを米に変えて作ることはできるか? 面倒なら握り飯にしてもらってもいいんだが、“海のコック”」
「んだと!? 調子に乗るなよ、そんなもん……できるに決まってんだろうが!!」

 私は口の中がポテトでいっぱいなので適当にうんうんと相槌を打ちながら聞いていたけれど、二人のやり取りが面白すぎる。特にサンジ。私の作ったドリンクの感想をクルっと回って述べながらもトラファルガーの小言にムッとしたり怒ったりちょっと照れたりと表情が忙しい。
 それにしてもたまのジャンクフードで男二人にここまで言われるとは思っていなかったなぁ。ポテトをしっかりと噛んで飲み込むと野菜ジュースの残りを一気に飲み干した。

「普段気を使ってくれてるならなおさら、たまにはいいよね、こういうのも。それにみんながめっちゃお酒を飲むのとあんまり変わらない気がするし、結局調理して出したのはサンジだし」
「確かにそうなんだけど、ユメちゃんが日頃から健康面に気を使ってるのはわかってるからこそというか」
「私の内臓もそこまでヤワじゃないよ! お酒には弱いけど……でも今日のこの程度でどうこうなったりしないって」

 ポテトを食べきろうと皿へ手を伸ばすと、最初の一皿を食べ終わっていたトラファルガーが手を出してきた。なんだ、また私のポテトを横取りしようというのか。

「……そこのお医者さんこそ、塩分の摂りすぎになるんじゃない?」
「この程度何の問題もねェ。むしろユメ屋が摂りすぎる方が問題だ」
「私だってこの程度」
「多いだろ」

 この医者は私の話を聞く気がないらしい。私が塩分を取りすぎようが太ろうがトラファルガーには関係ないと思います。そう言い返せたらよかったんだけれど、やはりこの重い圧には勝てる気がしない。小さくため息をついてその医者の顔を見ると、パッと目に入ってきたのは口元についていたポテトの食べかすだった。

「もー、人のことさんざん言っておいて食べカスついてるよ! ルフィじゃないんだからさ」

 気がついてしまった以上、このまま食べかすを放置することはできなかった。私はすぐに手を伸ばしてトラファルガーの口元についていたポテトをちょんと指でつまんだ。

「!!」

 その直後。カスをつまんだ手はトラファルガーに掴まれていた。一体何事かと思っていると、そのまま指をパクリとくわえられて……すぐにアクセル全開。頭をフル回転させたけれど、何が起きているのか理解できないまま煙を上げて停止してしまった。トラファルガーの口内でペロッとポテトのかすを絡め取られ、その指先だけに全神経が集中する。上昇していく心拍数。これは……私の指に一体何が起きているのだろうか。

「……と、トラファルガぁ!!」
「うォイ!! そこのクソ七武海野郎!! ユメちゃんに何してやがる!!」

 びっくりして声が出たのと同時にサンジの本日一番であろう発狂にも似た声が部屋に響いた。トラファルガーの奇行を見ていたのだろう。サンジはクワッと目を見開くと、カウンターに手をつき身を乗り出してトラファルガーの胸ぐらを掴もうとした。


「お〜いユメ! ここにいたのか〜! トラ男も!!」


 一触即発、その瞬間。場の空気をガラッと変えるチョッパーの癒しの声がキッチンに響き、部屋中に一気に花が咲いたようだった。サンジも「……おう、チョッパー」と、毒気を抜かれたみたいに乗り出していた体をゆっくりとキッチン内に戻した。

「ユメ、顔が真っ赤だぞ!! 大丈夫か!?」

 本を持ちながら慌てふためくチョッパー。私はバクバクと音を立てている心臓を落ち着かせるために、走って近づいてきたチョッパーを抱え上げた。膝の上に乗せ、後ろからぎゅっと抱きつく。顔を埋め、すぅと大きく息を吸うと少しだけ心が穏やかになった気がした。

「う〜ん、その、ちょっといっぱい食べ過ぎた……かな?」
「ユメがそんなに食べるなんて珍しいなァ」
「美味いものには中毒性があるからな」
「ん? 毒!? 何の話だトラ男!」

 中毒性――トラファルガーの言葉に妙に納得してしまった自分がいる。ポテトは無限に食べられる。けれど、隣でチョッパーに美味いものの中毒性について説明するトラファルガーを見ていると、今私の体に回っている毒はこのジャンクフード由来のものだけではないような、そんな風に思えてきた。ううん、きっと考えすぎだ。
 サンジはまだ少しイライラした様子で「ほらよ」とトラファルガーのリクエストのご飯バーガーをカウンターに乱暴に差し出し、おもむろにタバコに火をつけた。お皿を受け取ったトラファルガーは小さく「手間をかけさせて悪かったな」と呟く。そして自分が食べる前にチョッパーに「気に入れば半分やる」とバーガーを差し出した。そのトラファルガーの言葉にチョッパーは「いいのか!?」と目を輝かせながらむしゃ、とバーガーにかぶりついた。チョッパー、いいなぁ――
 いや、待て待て。いいなって何だ、その感情。
 私の膝の上で「美味いぞサンジ! トラ男! 本当に半分くれるのか!?」とウキウキしているチョッパーと、隣で特に表情を変えることもないまま「あァ」と返事をし、半分にしたバーガーを渡すトラファルガー。そのトラファルガーのチョッパーへと向けられている見守るような、穏やかな眼差し。
 ご飯バーガーがあまりにも美味しそうだったからだろうか……あぁ、チョッパーがうらやましいって、私も食べさせてほしいなんて思ったのだ。なんだろう。これは誰かに甘やかしてほしい、ホームシック的な気持ちに近いのかな。けれど、私の家はもはやここだし、えーと、まさか。もしかしてトラファルガーだから? 色々と教えてくれたり、怖いながらも何だか不思議なオーラというか、キラキラしていると感じることもあるけれど、そんなこと、あるだろうか。

「ないない! 気のせいだよなぁ」

 私の呟きにサンジが「ん? 何がだい?」と反応したけれど、首を横に振って、自分に言い聞かせるようにして「なんでもないよ」とごまかした。けれど、ごまかした途端にパチリとトラファルガーと視線が合ってしまって、慌ててチョッパーに話しかけながらそらしてしまった。不自然だったかもしれない。
 きっと、まだまだ栄養が足りていないのだ。うん、そうに違いない。たくさん食べて、そしてたくさん体を動かそう。運動に、練習に集中すれば、このよくわからないもやっとしたものも晴れるだろう。
 私は「よし! やるぞ〜!」と気合いを入れて、サンジに練習のお供という名の間食用の軽食をお願いした。するとその場にいた全員にまだ食べる気なのかと言いたげな視線で見られたけれど、ちゃんと消費もするもん。私はめげないぞ。

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