戦いはじめ
「よっしゃ! 晩飯はチェレンの奢りだ」

「勝って真っ先に言うことがそれ?」

「そのために戦ってたからな」

チェレンは呆れた目をオレに向けて、ポカブをボールに戻した。
ボール越しにポカブに「お疲れ様」と労わる。

オレは噴水の淵に座るタージャのもとに歩いていった。

「タージャ、よくやったぞ」

頭を撫でようと伸ばした手が宙を切る。同時に、飛沫が上がった。
噴水を覗くと、タージャが水の底で横たわっていた。

「タージャ?」

溺れるぞ、とその身体を抱き上げる。
体温の低い身体は水に濡れたからか、いつもより冷たかった。

「どうした? 疲れたのか?」

タージャはオレの腕にぐったりと身体を預け、浅い呼吸を何度も繰り返している。
おかしい。
嫌な予感がする。

「おい、タージャ! どうした!? タージャ!」

何度も何度も名前を呼ぶ。けれど、タージャは返事をしてくれなかった。


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