×××ゲーム
7
「何?ジュンチョーなの?」
昼ごはんを食べながら松尾に向かって彼の友人が聞く。
「順調、だよ。」
みてみて、と言って松尾がLINEの画面を見せている。
そのために熱心にメッセージを送ってきたのかと妙に納得してしまう。
「というか、案外普通なんだな。」
俺と松尾を交互に見て言われる。
罰ゲーム以外の何かだと思ってるなら、そいつは相当空気が読めないやつだし、分かっているなら別に周りの視線が気になる以外普通はどうってことない。
距離が近いことが駄目なのは、俺がゲイってだけでそうじゃなきゃ単なる友達付き合いだ。
メッセージだって挨拶だって、ご飯一緒に食べることも一緒に帰ることも、別に友達なら普通にする。
「えー、そうかな?」
松尾がヘラヘラと笑いながら俺の肩に触れて、そのまま指先に向かってつうっと撫でる。
彼の指先が俺の手の甲を撫でた瞬間、かっとなる。
思わず手を無言で振り払ってしまう。
ここは冗談にしておくべきタイミングな気がしたけど体が勝手に動いてしまった。
過剰反応もいいとこなのに、ぱしっという音と一緒に松尾の手が振り払われる。
変に勘繰られたくないけれど、なんて言ってごまかしたらいいか分からない。
「ああ、二人っきりの時だけにして欲しい?やっぱり。」
松尾が俺が何かを言う前にごく軽い調子で、けれど酷く甘い声で言った。
告白の時の棒読みは何だったんだという演技がかった声だ。
「は?」
何言ってるんだと言い返すと、松尾の友達はゲラゲラ笑っている。
そういうものとして、捉えてくれたのかもしれない。
お弁当を食べながらちらりと松尾を見る。
松尾の唇が弧を描くように上がる。
目線を合わせるのが恥ずかしくて視線を逸らしながら、弁当の残りをかきこんだ。
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