緊急招集


思い切って好きって言ったら、ありがとうって言われて…でも、今はまだ何も言わないって言われて…だけど、家に私以外の女の人はもう呼ばない、って言ってくれて…
なのに…何もなし?あれ?これって結局どうなってるの?

しかも、しかもだ。

「夏休み…入っちゃったんですけど…」

そりゃあそうだ、昨日が終業式だったんだから!

そんな1人ツッコミをしながら、私は両手で頭を抱えてベッドに突っ伏す。なんだこれ、なんだこれ!よく考えたら、結局私が一方的に自分の気持ちをイタチ先生にぶちまけただけで終わってない!?ありえなくない!?

「…でも、振られるよりは、いい、のか、な」

告白する以上、振られる覚悟はしてたけど。してたけど、きっとあの雰囲気で振られてたら実際きつかったと思う。2人きりで夕ご飯食べるってのに振られたなんてなったら、なんだかんだ何も喉を通るどころの騒ぎじゃなかっただろうなって、一晩明けていくらか冷静になった今そう悟った。
なのになんでタイミングもなにも考えず…私ってば、ほんとガキだなあ。
イタチ先生を困らせるようなことばっかりしてる。こんなんじゃ、優しくしてもらえなくなる時が来てしまいそう…いやいやいや、これ以上ネガティブなこと考えるのはやめよう。こうやってぼーっと考え事してるとどうしても気分が落ちていく。
それくらい私の頭の中はイタチ先生のことでいっぱいで。夏休み1日目の今日もいつの間にかもう18時だ。

「…今日の夕飯、なににしようかなあ」

なんて呟きながらベッドにごろんと寝そべった瞬間、携帯電話が鳴り出した。
はー、もう、なんてタイミングで連絡してくるの!と少し顔を顰めながら見たディスプレイには、うちはサスケの文字。
ああ…と思いながら、通話ボタンを押すあたり私は割と律儀な性格だと自分でも思う。

「もしもし、」
「あ、出た」
「…どうしたの?」
「もし良かったら久々に飯でも行かねえか?一楽の無料券あんだ」
「…行く」
「なら迎えに行くから待ってろ」
「え、あ、私そっち行、あ…切られちゃった。」

最近なにかと忙しくて(イタチ先生に一直線だったからとは言いたくない)サスケとあんまり絡んでなかったし、久々に一楽のラーメンも食べたいし、まあいっか。
適当に引っ張り出したTシャツとショートパンツを着て、サンダルを引っ掛ける。
家も近いし、外に出て待ってよう。そう思いながら玄関のドアを開けると、むわんと蒸し暑い空気に包まれた。ああ…この気温の中、ラーメンって…。少し考え直そうかと思った矢先、階段の下の方から声が飛んだ。

「よう」
「あ、サスケ、早くない?」
「実はもう向かってた」
「なるほどね…」

さすが、準備がいい。
玄関の鍵をかけてトントンと階段を下りると、私服姿のサスケが後ろ頭を掻きながらこちらに近づいてきた。はあ、見た目はカッコイイしモテるんだから夏休みにまで私なんかとつるんでないでさっさと彼女でも作ったらいいのに。勿体無い。

「ヒメ、今日何してた」
「え、ごろごろしてた…」
「はっ、もったいねえ」
「そういうサスケは何してたの?」
「課題、早く終わらせて解放されたいからな」
「わー、優等生は言うことが違うわあー」
「うっせえ、つーか、今年は溜めるなよ、去年みたいに最後の1週間お前の課題に付き合わされんのはもう懲り懲りだ」
「言われなくてもわかってますよーだ!」

あ、意外と今まで通り、かも。
絡んでないなりに、実は私も最近サスケあんまり笑わなくなったなあなんて思ってたりしてた部分があったんだけど、話してみたら元気そうじゃん。よかったよかった。

「あー、お腹減った!早く行くぞー!」

ぱしん、

サスケの背を軽く叩いて走り出した私。
後ろから盛大なため息が聞こえてきた気がしたけど、うん、きっと気のせい。

後ろを振り返って、早くー、と急かした。


(20140801)



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thanx!! :)


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