Vitamin
(デイダラ)





目の前の大きな空に向かって手を伸ばしたけど、やっぱり届かなくて。そのまま広げていた手を握り、また開き、そんなことをしていたら、ふと開いた指の間からちらりと大きな鳥が見えた。

「デイダラだっ!!」

ばっ!と飛び起き大きな声で叫べば、ビクッと震える目先の巨肩。あ、鬼鮫が隣で洗濯物を干していたみたい。正直、今はそんなことどうでも良い、早く天上の彼に会いたい、早く

「どうでも良い、って、少しひどくありません?」

あら、声に出ていたかしら。ごめんなさいね、悪気はないの。とりあえず私は頭の真上でゆっくり旋回しながら下降してくる あの鳥にしか興味はなくて、瞬きもせずにじっと見つめる。やっと、やっと会える!
だんだん近づいてきたそれの背には、やはり黄色い髪の少年が乗っていて、私はいよいよ収まらない気持ちをそのままに手を大きく振った。心なしか彼も笑顔、嗚呼、早く抱きつきたい!

「**ー!」

ぴょん、と鳥から飛び降りてこちらへ走ってくる愛しい笑顔。負けじと私も走り寄って胸にダイブする。ぎゅうっと抱き締められたらなんだか涙がじわじわと溢れてきて、頬をつう、と伝った。

「はは、なに泣いてんだ?うん?」
「だって…今回の任務、長かったからぁっ!」

泣きながらわんわん叫ぶ私を、困った顔1つせず強く抱き締めてくれるデイダラに、私は何度救われたことか。むしろ彼は笑顔で私の額にキスを落として笑う。はぁ、その屈託のない笑顔はあなたをひたすら待ち疲れた私の栄養剤です。


vitamin

(ただいま!)




20120708





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