白雪王子5
(イタチ)



自らの傍らでぐったりと横たわる**の頬にキスを落として、ほんの少しの罪悪感に苛まれる。情事の余韻が残るなか、少しでもこの部屋のねっとりとした空気を変えねばと気だるい身体を起こして窓を開けた。昨夜の雨が嘘だったかのような晴天に自然と顔が綻ぶ。

「…うちは様、」
「名前で構わんと言っただろう…身体は大丈夫か?」
「はい、まだ少し痛みますが…これがうちは様に処女を捧げた証と思えば、幸せな痛みでございます。」

健気なことを言う**を目の前に、イタチはまたむくむくと反応し始めた自身を精一杯なだめつつ、平然を装いながらベッドに腰かけた。彼女はまだ、熱のこもった眼差しで彼を見つめている。

「…まぁ…無理はするな。」
「はい。…あの、国には戻らぬともよろしいのですか?」
「…戻りたいが、恐らくもうだめだ、俺が国を出るときにはもうほぼ全域に火が回っていた…」

それに、戻ったら嫌でも失ったばかりの家族を思い出す。命がけで守ってくれたと言うのに、自らまた敵の手中に乗り込んでいくことなど、この命を無駄にするも同じではないか。それなら、いっそのことここで**と新しい人生を歩んだほうが、

「いけません!」
「…え、」
「それでも生き残っている国民は絶対にいます!あなたはまた、あの城に戻って国を治めねばなりません!」
「だが…」
「それにいずれ、わ、私が妃として住む城です、早く国を建て直さねば、でしょう?」

自分で言っておきながら真っ赤な顔をしてうつむく**を抱き締めながら、その台詞に胸を打たれる。確かに自分は王の息子であり、跡継ぎだ。それがたかが国を1度襲撃された程度で引き下がるわけにはいかない。こんなに立派な妃もいると言うのに、だ。しかし、ここでひとつの疑問が浮かび上がる。**がうちは国に嫁に出たら、彼女のいるこの国は誰が継ぐのだろうか。

「…**の国の王は、誰が?」
「私は次女ですので、お姉様と、お姉様の旦那様が治めます。」
「あぁ…そうだったのか」
「…私では…やはり役不足ですか?」
「いや、そんなことは全くない、むしろ俺には勿体ないくらいだ。」

不安がる**に胸を締め付けられるほどのときめきを覚えながら、彼女を更に強く抱き締める。少し苦しいです、とイタチの背を軽く叩く彼女に笑いながら、名残惜しそうにゆっくり身体を離した。元々決まっていた偶然ながら、これはもしかしたら運命なのかもしれない。

「それに…国を復興させるのは、**とじゃなきゃ有り得ないからな。」
「…はい!」

そして2人はどちらからともなく唇を合わせた。
この数年後、うちは国が様々な国々に名を馳せるほど有名で強大な国にまで成長するのは、また別のお話である。


白雪王子





「あ、あれ!?父上?母上?サスケ!?」
「うちはは元々火を司る魔術師から成った国だ、お前もそれくらい知っていただろう?」
「…と言うことは、」
「火を撒かれたぐらいでやられるような軟弱な国ではないわ!お前を逃がしたのはもしもの時の保険だ!許嫁のいる国に辿り着けば自然と話は伝わるだろうしな、」
「…そ、そんな、**は知ってたのか!?」
「んー、数日前に文が来ていたので存じ上げておりましたけど、言わぬほうが再会の時の喜びもひとしおと思い黙っておりましたわ」
「…」



Happy end!!!


2013/06/19
しゅしゅ



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