Now or never
(イタチ)



ぐるぐるぐるぐる、私の脳内を天使と悪魔が駆け巡る。目の前には、イタチに押さえ付けられたサスケ。首根っこを捕まえて、今にも殺してしまいそうな勢いだ。そんなことをしないと解ってはいても、やりすぎなのではないかと思ってしまう。むしろ、そんな2人を見てどうにもこうにも動けない私こそダメな奴なのではないか。涙がつぅ、と頬を伝ったのが分かる。そもそも、この2人はこうして戦いあうべきではないのに。しかし、そんな戦いも自来也が登場したお陰でお開きとなり、私たちは早々に宿を後にしたのであった。

「…なんで、サスケをあんなに」
「なにも言うな…分かっている。それでも俺にはやらなければならない使命があるんだ。」
「…私だって…解ってるよ、」

夜になってようやく入った宿で、私たちはようやく2人きりになる。数年ぶりにやっと会えたと言うのに、口から出る言葉はお互いに今日起きた出来事についてばかりで、それが更に今の状況を「これは夢なんじゃないか」と私に思わせていた。

「もう、こんな話ばかりするのやめよ?私が悪かったわ、ごめんなさい。」
「いや…別に**が悪いわけでは…」

もうこのままでは埒があかない。そう思った私は立ち上がろうとしたが、その瞬間に腕を捕まれバランスをなくして丁度イタチの方へ倒れ込んだ。それをいとも簡単に受け止める彼に少し戸惑いながらも、そのまま彼に身を委ねてみる。どこか懐かしい香りがした。と、同時にまた溢れ出す涙。どうやら今日の私の涙腺は緩いらしい。

「悪かったな…随分と待たせてしまった、」
「会いたかった…!」

大好きな気持ちは、数年経った今でもやっぱり色褪せもしなくて。それくらい彼を愛してる、そう思ったら涙は更に溢れた。彼は困った顔で、でも少し嬉しそうに私の頭を撫でる、その優しささえ久しい。木ノ葉の人達にあんなに冷たく接していたけれど、でも彼のこの優しさは全く変わっていなかった。

「俺も…とても会いたかった。」
「ほんと?」
「あぁ。1回、我慢しきれなくて見に行ったことがある。**が任務しているところに偶然遭遇したことも1回だけある。でも、それでもギリギリのところで自分を殺して耐えてきた。」

そう言って、彼は私を強く抱き締める。自然と重なる唇。何度も角度を変えて繰り返されるキスに酔いながら、布団に転がった。たぶん、これからすることは決まっているだろう。イタチの体温も、私の体温もいつもより少しだけ高い。

「愛してる」

そう呟いたら、突然ねじ込まれる舌。嗚呼、今の台詞で彼を余計に煽ってしまったかもしれない。でも、まぁ良いかな。私は微笑みながら目を閉じた。今夜はきっと、今までで一番長い夜になる。


Now or never

(今しかない。)



2013/2/28
朱々



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