誕生日おめでとう
(ナルト)




片手には泡立て器、もう片手には銀色のボウル。リズミカルにかしゃかしゃと泡立て器を回せば、ボウルの中のクリームはすぐにふわふわと泡立っていく。そのクリームを人差し指ですくって味見しつつ、私は鼻歌を歌いながら手際よく調理を進めた。テーブルの隅には蝋燭とチョコプレート。今日は10月10日。電子レンジが鳴らす機械音と共に溢れだす甘い卵の香り。どうやらスポンジは上手く膨らんだみたい。

「半分に切ってクリーム塗って、苺を挟んで…」
「たっだっいっまっー!」
「え!?」

突然開いた玄関の扉の音に動揺を隠せない私。今日は夜までかかる任務だって言ってたのに、なんで?まだお昼過ぎなのに!そうやって慌てふためいている間にも、彼は手洗いうがいまできっちり済ませ、満面の笑みでキッチンに顔を出した。正反対の不機嫌そうな表情の私を見ても、その笑顔は少しも崩れない。

「ただいまだってばよ!」
「あ、うん、おかえり。ずいぶん早かったわね?」
「んー、今日は特別な日だからって、サクラちゃんがなんか気ィ使ってくれてよォ、へへっ

「あ、あぁ、サクラが、ね。」

なぁんでこういうときばっかり変な気回すかなぁ?あの馬鹿っ!と心の中で叫びつつ、私はナルトから浴びている変な視線に耐える。さっきっから絶える気配がないその笑顔はなんなのよ、私はまだネタばらしはしないんだから。

「なー、**?」
「なに?」
「なーに作ってんだってばよ?」
「ま、まだ内緒よ!いいからあっち行ってて!ほら!任務で疲れてるでしょ?昼寝でもしてらっしゃい!」
「えー!?眠くないってばよ!」

眠くないと言いつつ私にすり寄ってくるナルトを振り払うこともできず、抱きつかれたままスポンジケーキに生クリームをコーティングしていく。彼は後ろから抱きついたまま動かない。と思った矢先、彼の右手が私の左胸を、左手が私のエプロンの下の股間をまさぐり始めた。身をよじろうにも、テーブルとナルトの身体に挟まれているせいでなかなか難しい。そのまま数分格闘していると、なんとなくムラムラしてきてしまうこの簡単な仕組みの身体をなんとかしてほしい。耳元で囁かれるだけで背筋がざわつく。

「**?」
「な、…に?」
「濡れてるってばよ。」
「言わな…で、」

唇が重なったら、もう歯止めは効かなくて。
ベッドに倒れ込んだ瞬間はぎ取られるエプロン、彼の膨張した下半身の山を横目で見ながら、私は彼に向かって呟いた。


誕生日おめでとう

(今日はお好きなだけ召し上がれ、)




20121010
朱々



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