あまのじゃく



みい様へ 21200Hit記念



「待って、…はぁ…」


ダメだ。

どんどん小さくなっていくイタチの後ろ姿を見ては溜め息をつく。今日は久しぶりに彼との任務だったから、2日前くらいから楽しみにしていたのに。それなのに、これだ。彼はいきなり走るスピードを上げるし、ろくに会話もないし、まるで私がお荷物のような扱いで、つい涙が滲む。


「…帰りたい…」
「○○!!」


彼の声に驚いて前を見ると、すぐそこに敵の姿があり、私の脳は瞬時に覚醒する。腰にさしていた日本刀を抜けば、相手はいとも簡単に地に墜ちていった。それを見たイタチは安心した様子で私に近寄ってきて頭を撫でる。


「大丈夫か?」
「…大丈夫、じゃない」
「どうした、どこか怪我でも」
「もう良い…ほっといて」
「○○、」
「イタチのお荷物にはなりたくないから、だから…帰る」
「は?」


訳が分からないイタチは驚いて目を見開く。○○のことをお荷物などと思ったことは一度もない、故に彼は彼女の言っていることが理解できずにいた。


「○○、俺はただ…○○に怪我を負わせたくはなかったから、」
「じゃぁ…なんでちゃんとそう言ってくれなかったの?…言わなきゃ分かんないよ…」


そう言ってもと来た道を引き返そうとした瞬間、ぐ、っと肩を掴まれ塞がれた唇。抗議をしようと口を開けたら舌を捩じ込まれ、イタチの胸板を叩いたら抱き締められた身体が何故か疼く。普段温厚な彼からは想像がつかないくらいあまりにも乱暴な行為に彼女は驚いた。


「い、イタチ…」
「俺は…俺は、何があっても○○を手放したくはない、だから…お前はずっと俺と一緒に居ろ。」
「…ぷっ」
「なっ、何がおかしい!」
「いや…イタチっぽいなぁって思って。分かった分かった、そんなに私が好きなら仕方ないわ、一緒に居てあげる。」


そう言ってイタチの腕に抱き付けば、彼の頬は赤く染まる。イタチったら素直なのか素直じゃないんだか、つまりつまるところ、やっぱり彼には私じゃなきゃダメなのかもしれない。


そして2人はまた任務遂行に向けて空を蹴った。


あまのじゃく

(要するに、素直じゃないってこと)


2009.5/1
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thank you!! :)



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