「んむ、ぅ」

突然、何者かに口許を強く押さえつけられて唸り声が漏れる。両手が縛り付けられているため、ろくな抵抗ができない。今は夜中の2時、私は任務から帰ってきて眠りに就いていた。家の外には薄く結界を張っていたはずなのにどうして、あれがこんなに簡単に破られるなんて、そんなの

「んんーっ、んん!」
「…静かにしろ、乱暴にはしたくない。」
「っ…! 」

この声、聞いたことがある。まさか、まさかね、と思いつつも頬にさらりとかかる長髪が私の予想を徐々に現実へと引き寄せていった。月明かりが逆光となって肝心な顔が見えないけれど、その額につけられた木ノ葉の額当ての傷は、抜け忍の証。それに私が知っているたくさんの忍の中で私にこんなことをする人は大概1人しかいないんだ。

「んんん、」
「…うるさくしないと誓えるか?」

首を縦に振ると遠慮がちにゆっくり離れた彼の手。やっぱり、なんだかんだ優しいところは今も変わってないんだね、この状況下でそんなことを思いながら、私は私の上に馬乗りになっている彼の目を見た。

「…イタチ、よね?」
「…」
「あの結界、イタチに教えてもらったものだから…簡単に破れるのはイタチしかいないわ。」
「…お前は…笑うか?」
「え?」
「里を抜けても女が忘れられなくて、こうして戻ってきた…そんな男を、お前は笑うか?」

彼がそれを言い終える前に既に濡れていた私の頬。私だって、私だってイタチのこと忘れた日なんてこの数年間で1日たりともなかったよ。彼は突然泣きじゃくる私を見て暫く驚いていたけれど、手を伸ばして抱き締めてくれた。ほら、彼は優しいんだ。

「私だって、イタチのこと…忘れられなかったよ…!」

ぷつ、と切られた手首の縄。私は弾かれたように彼の背を抱いた。久々に重ね合わせた唇の感触は数年前とさほど変わらず、でも私の下腹部に当たる彼の男根の大きさが年月の経過を思い知らせている。

「随分…成長したんだな、」
「あなたこそ。」

右手で男根の裏筋を撫でると微かに漏れる艶っぽい声。にやりと笑いながら彼を押し倒そうとした瞬間、蜜口に挿入された2本の指に思わず叫んだ。

「あ、ぁ」
「俺が今夜何をしに来たと思ってる?お前に主導権は握らせない。」

力なく倒れ込む私を見ながら、今度は彼が不適な笑みを浮かべる。もう、なにも考えられない思考回路を投げ出して、私はただ彼の指から伝わる快楽を貪り喘いだ。

「相変わらず感度が良いな、」
「い、イタチ、」

今夜は何をしに来たの、弱々しくそう言った私にいよいよ男根を挿入しながら彼は告げた。


夜這い

(そして奪還)


2013/06/06
朱々

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