「だから、オイラはお前が好きだって言ってんだ、うん」

なんなんだろう、この状況は。私は今、何故かデイダラに押し倒されて、床の上に仰向けになっていて。両腕はばんざいをした状態で彼に押さえ付けられた上に馬乗りをされていて身動きがとれない。あれ?私、なんでこんなことになっているんだろう?いくら考えても答えは出ないけど、とりあえずなんとなく嫌な予感だけはむんむんと感じていた。

「う、うん」

ふにっと押し付けられたデイダラの唇は柔らかかった、じゃなくて、え、私の大事なファーストキスが私の許可なくいとも簡単に奪われてしまった。一体これはどういうこと?目を白黒させる私に、もっかいぶちゅうと唇を寄せたデイダラは、あろうことか私の唇を舌でこじ開ける。顔を横に振ろうとも、捕らえられた舌を吸われてへなへなと身体から力が抜けてしまい何もできない。もしかして、これがディープキスと言うものなんだろうか。
なかなか止まらないディープキスに意識を集中させていると、突然私の下半身の大事なところを触られて反射的にばちんと両足を閉じる。な、なにを考えているの、そう問いたかったけど、喋れない。デイダラは私の両足の間に自分の右足を割り込ませて開き、その付け根にまた触れた。スカートを捲り上げ、下着の上から優しく撫でられただけで身体を固くさせる私の反応を見て、更に激しく擦れば自然と漏れる声。そうこうしているうちに彼は遂に私の下着を片側にくいと寄せ、そこへ直に触れる。びくんと跳ねる私の両足、咄嗟に左手で私に触れているデイダラの右手を掴んだけれど、力が入らない。

「…濡れてる、」

やっと私の口から離れてそう呟いた彼は、私の両足をぐいっと開いてさっきまで触れていたそこに右手のひらをぐいっと押し付けた。途端、地に打ち上げられた魚のようにびくびくと波打つ私の身体。デイダラの右手についている口が私のあそこを舐め回しているんだと気付くのにそんなに時間はかからなかった。ぬるぬると舌を穴に抜き差しさせながら、彼はまた私に口付ける。

「ヒメ、可愛い、オイラの愛撫で…こんなに濡れてる」
「ど、して…こんなこと、」
「ヒメが好きだからだ、うん」

だからって、だからってこんな無理矢理しなくても、そう言おうとしたけれど、身体に与えられた強い愛撫の衝撃でそれは言葉にできず、代わりに私の口からはただ卑猥な音が漏れた。結局のところ、デイダラは一方的すぎて何もわかっちゃいないんだ。普通、こう言うことって両人同意の上で、ちゃんとベッドでやるものなんじゃないの?

「もう…そろそろ、」
「な、なにを、っああ!!」

下腹部に圧迫感を感じた瞬間、突然、突き刺さるような痛みが走る。咄嗟に私の腰を押さえているデイダラの両腕を握ったけれど何の抵抗にもならず、それはゆっくり時間をかけてぎちぎちと私の中に収まったようだった。じんじんと痛むそこはもはやあまり感覚がなく、彼も心なしか辛そうな顔をして私の腰を押さえたまま動かない。

「きっつ…」
「痛いよ…なんで、なんでこんな無理矢理…」
「…ヒメ、泣くなよ」
「っ…っく、」
「…ご、ごめん…」

やっと少し冷静を取り戻したデイダラが私を抱き締めたけれど、私は泣き止まなかった。別に痛くて泣いてるんじゃないし、彼とえっちをするのが嫌だった訳じゃない。ただ、だったらちゃんと過程を踏んでほしかった。ファーストキスは、2人でちゃんと向かい合ってどきどきしながらするものだと思ってた。えっちだって、柔らかいベッドに優しく押し倒され甘い気持ちでするものだと思ってた。それは、私が夢見すぎてただけなの?全部叶わないの?

「デイダラは…こんな無理矢理えっちして、満足なの?」
「…それは、」
「私はやだよ、こんな固い床の上で無理矢理なんて、全然嬉しくない。」
「じゃぁなんでなにも」
「デイダラは私になにも聞かなかったよ…!」
「っ!」
「自分の気持ちばっかり押し付けて、私の気持ちなんてちっとも聞かなかった!」
「…」

私を抱き締めたまま、デイダラは押し黙る。反省しているのかどうかはわからないけれど、私の頭を優しく撫でながら、彼はしばらくの沈黙の後、顔を熱くなるほど真っ赤に染めて私に言った、

「…じ、じゃぁ、」
「うん、」


好きって言えよ

(もう!ほんとばか!)
(なっ!だってオイラのこと好きだろ!?)
(そうだけどそれとこれとは違うの!)


20130702
朱々

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