※尻軽チャラヒロイン注意



「ねえ、今夜私と遊ばない?」

にこやかな笑みを浮かべてさらりと吐くその台詞に溜め息をつく。
なんでこの女はこんなにも尻軽なんだと思いつつもその首根っこを掴んで引っ張り寄せた。今、新入りのこの女の世話係を頼まれたのが、ほかの誰でもないこの俺だからだ。入って早々、メンバー相手に遊女まがいのことをされてはたまったもんではない。今は任務中じゃないでしょ、なんて屁理屈を言い始めた彼女を睨みつけて、掴む手に力を入れればようやく押し黙った。

「明日なら空いてるけど、うん」
「ほんとっ!?」
「黙れ、明日は任務だ」

この女が元凶だが、誘いに乗るデイダラもデイダラだ。まんざらでもなさそうな顔をほんのり赤く染めて、一体何を期待しているんだか知らんが…そんなことさせないからな。と彼にも睨みをきかせて、暴れる彼女を引きずって自室に入れる。生憎空きがなかったため部屋は何故か同室だ。部屋のドアを閉めたところでようやく手を離してやると、黙っていれば可愛く大きい2つの瞳が俺を睨んでいる。

「…もう少しでデイダラ先輩と遊べたのに…!」
「そういうのは遊びでする行為じゃないだろう。もう少し相手と場所を弁えろ」
「嫌がる相手は誘ってません!」
「そういう事じゃない。」

なんなんだ、こいつは。
今までもずっとこんなふうに色んな男に声をかけて売春婦のようなことをしてきたと言うのか。信じられない。なのになんで暁に入れたんだ。と言うかこの女をスカウトしたのは誰だ。全くもって理解ができない。とにかく、俺が世話係をしているうちは体裁もあるし好き勝手な行動をされるわけにはいかない。それを口酸っぱく言ったところでこいつにはちっとも響いていないけれど、まあ何も言わないよりは良いだろうといつも通りくどくどと注意の言葉を連ねる。

「はい、お茶どうぞ」
「あ、ああ、すまない」

そうだ、あんなふうに尻軽なところを除けば、この女は気配りができる女なんだ。そういうところに引っかかる男を捕まえて火遊びを繰り返しているのかもしれないが、なんにしろこの機会にきっぱりとやめさせたいくらい嫌な遊び癖だ。
ずず、とお茶をすすりながら、彼女が出してくれた団子を口に入れる。向かい合わせの位置に腰をおろし同じようにお茶を飲んでいる彼女が、突然目をキラキラと輝かせて「そうだ!」と叫んだ。

「イタチさん、今夜同じベッドに」
「却下だ」
「えー!我ながら名案だと思ったんですけどね…」
「遂に俺にまで色目を使うのか…呆れたやつだ」

だって…イタチさん顔がタイプなんだもん、だなんてぶつぶつと呟いている彼女に冷ややかな視線を浴びせながら団子を咀嚼する。阿呆だ。阿呆すぎる。だがしかし彼女は全然懲りていないようで、また溜め息をついた俺に再度キラキラしたような目を向けた。

「私、イタチさんが相手してくれなかったら明日の任務行きません!」
「…は?」
「決めた!決めましたからね、私!」
「そんなこと俺には関係ない。」
「一緒に任務に行くメンバーなんですから関係ありますよ!私を連れて行かなかったらリーダーに怒られますよ、イタチさん」
「…幻術をかけてでも連れて行けばいい話だ」
「私の得意分野が幻術だって知ってるくせに〜、写輪眼は攻略済みですよ!」

不毛な口論にそろそろ疲れてきた。本気で部屋を別にして欲しい。ああ、でも別になった途端こいつが好き勝手するからやっぱりだめだ。俺にはもうどうしようもできない。

「お願いします、今夜相手してくれたら明日から頑張りますから!」
「それは頑張らないやつの常套句だ」
「私は嘘つきませんって!」

ね?と上目遣いで強請る彼女は気づけば俺の右腕に巻きついている。鬱陶しいと思いながらも、相手が女なこともあって強く跳ね除けられない。

「そもそも、俺はお前のように尻軽な女は嫌いなんだ」
「尻軽っていうけど、イタチさんがいつも邪魔してくるから結局誰ともやれてません」
「だからそういうことを平気で言う時点で尻軽なんだお前は」
「う、うるさいです!」

ぶちゅう

…ぶちゅう?
圧し掛かってきた彼女の身体を支えながらも思考回路を回す。
俺の唇を塞いでいる、これは。
身体がスローモーションで押し倒されていく。彼女の両手が俺の頬を挟み込んで、ぬめりと舌が唇を割って入ってきた。このまま流されてたまるか、そう思うけど、身体は欲に正直なようであっさりと首をもたげた下半身には苦笑するしかなかった。

「イタチさん、なんだかんだ言ってやりたかったんじゃないですか」
「常に発情期の雌犬のようなお前にそれを言われるのは心外だな」
「わあ、酷い例え」

でも、1回私と寝たら病みつきになりますよ、って、どれだけの自信があって言っているんだか。
こうなったら、もう2度とほかの男に声を掛けようとも思わなくなるくらいに調教し尽くしてやろうと心に決め、俺はコートを脱いだ。


喰い合い

(イタチさんキスマーク付けすぎです!)
(そんなんじゃ他の男の前で脱げないな)

20141108

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