狂うほどに愛しい

ぬちゃり、

淫音が響く。
それは彼の舌が私の身体を舐める音だったり、私の陰部に彼の陰茎が押し込まれる音だったり、理由は様々なのだけれど、なんにせよその音は耳に入るだけで私の身体をいちいちおかしくさせた。それだけで身体が火照ってしまうのだからどうしようもない。
私の腰を押さえつけている後ろの彼は苦しそうに息を吐きながらピストン運動を繰り返している。2人して迎えた絶頂の数はもはや3回あたりから数えることすらやめた。

「イタチぃっ、あ」
「は、っ、やばい、」

彼の其れが中を擦る度に快感を抉る。呼吸がうまくできなくなって、ぎゅうとシーツを握って甲高い声を出した。熱い手が時折ゆるゆると胸を揉むだけで腰がびくびくと跳ねる。ああ、我ながらもうどうしようもない。この男には何年も前から骨抜きなんだ、こうして繋がれるだけで充分嬉しいのに、加えて耳許で愛を囁かれるものだから、これを幸せと言わずしてなんと言おうか。
また、数度目の絶頂を迎えた彼の陰茎が埋め込まれた穴から、どろりと液体が滑り落ちた。

「は、っはっ、はぁっ」

それでも腰の動きを止めない彼は、一体どうしてしまったんだろうか。
セックスレスと感じたことはなかったけれど、今までここまで求められることは滅多になかったため驚きも8割。どうしたの、と聞こうとした瞬間、陰芽が捏ねられてその言葉は喘ぎ声に変わった。逃げる腰を左腕で捕まえて、これでもかと私の弱いところをくりくりとこねくり回しながら、彼は腰を打ち付ける。酸欠気味になって肘ががくんと折れたところで、ひっくり返される体位にされるがまま。ああ、行為をやめる気はないのね、なんて、考えるまでもないことだった。
向き合う体制になったことで寄せられた唇に悪い気はしない。熱い熱いそれに、仕返し、と言わんばかりに噛み付いた。ぐっと太ももの付け根を押し開かれてより深くまで繋がった結合部に悲鳴に近い声が出る。力なく彼を睨みつけて見れば、不敵な笑み。

「奥…好きだろう?」
「や、っあ!」

ぱんぱんとリズムよく繰り返される律動に逆らうこともできず、彼の手首を握った。
絡め取られ繋がれた手、揺れる黒髪、だんだんあがるスピードがまた絶頂を訴えている。

「イタチ、待っ…、」
「イく、」

あっという間にびくんびくんと脈打つ陰茎を中で感じただけで潤いを増すこの淫乱な身体に多少の情けなさを感じながらも、まあイタチ相手でなければこうもならないか、と開き直って深いキス。
少しの間を置いてまた動き出した彼に、流石の私も苦笑を漏らした。

「ちょ、っと…今日のイタチ、狂ってるんじゃないかって思うくらい激しい」
「いいだろう、そのくらい愛してるんだ。」

なにそれ、狡い。


20140925


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