「あっつ…」

お風呂上がり、パジャマを脱衣所に持ってき忘れたことを思い出して頭にバスタオルを巻いたまま下着姿で寝室に戻る。すぐに見つかるだろうと鷹をくくり電気もつけず暗い部屋の中でクローゼットの中を漁るけど、なかなか見つからない。やっぱり電気つけないとだめかな、そう思ってドアの近くまで戻ったとき、突然腕を引かれて思わず可愛いげのない叫び声を上げた。

「い、イタチ、帰ってたの」
「思いの外早く仕事が終わったからな、ベッドで休んでた」
「それならそうと早く言ってよ…はーびっくりした…」

まだどくんどくんと大きな鼓動を打っている胸を押さえながら溜め息をつく。それでも、すまないと呟いて優しく抱き締めてくる彼の腕に結局許してしまうんだから仕方がない。でも、胸に頭を預けて目を閉じたとき突然感じた解放感に顔をしかめる。そう言えば、私ってば今下着しか着てなかったよね、

「ちょっと!」
「ヒメも随分大胆になったな」
「ち、違うの!たまたまパジャマを忘れちゃったから、んぅ!」

イタチの指が、胸の頂を摘まむ。床にぱさりと下着が落ちて、慌てて腕で身体を隠せばあろうことかショーツの紐が解かれてそれさえも呆気なく床に落ちた。上を向いて思いっきり睨んだけど、この薄暗い部屋の中でそれが彼に伝わったかは分からない。文句を言おうと口を開こうとしたら噛み付かれた唇。ひゃ、と声を漏らせば侵入する舌。ああ、もうだめだ。ディープキスなんてされたら思考回路が鈍っていくに決まってる。現にもう既にイタチの腕に掴まっているだけで精一杯だ。
彼が私の背を支えながら、私の下半身に手を伸ばす。自分でも分かる、きっとそこはとんでもないくらいに濡れてる。そしてそこへ躊躇いなくゆっくり挿入っていく2本の指。掠れた吐息を漏らしながら、後ろのドレッサーに手をつく。ばさりとタオルが落ちたとき、同時に部屋の電気がついて思わず目を瞑った。

「な、んで、」
「さっき…つけたかったんだろ?」
「いじわる…!」

咄嗟にバスタオルで身体を覆ったけど、そんなものはすぐに引っぺがされてベッドに放り投げられる。くるりと反転されたかと思えばドレッサーに乗せられた右膝。もうどうしたって隠せないそこに指を入れたまま、ベルトを外す音が聞こえた。

「…挿れるぞ、」
「ん、んう…っ!」

入り口に宛がわれた男根がゆっくりと中に押し入る。密着度が増す腰と腰、彼は肘をついて声を漏らす私の顎を掴んで前を向かせた。
目の前のドレッサーの鏡に写るのは、あろうことか自分の裸体。イタチが腰を動かしたとき、鏡の中の私のそこに彼のあれが出し入れされている様子がはっきりと分かる。あまりにも恥ずかしくて顔を背けようとしたけれど、彼に顎を掴まれているせいでそれは叶わず、耳許で囁かれる彼の言葉にただただ腰が疼いた。

「こんなに濡れて…わかるか?今、俺達は繋がっているんだ」

パン!と、わざと大きな音を立てて打ち付けられた腰に悲鳴のような喘ぎ声をあげる。やだ、こんなの見たくない。見たくないのに、なぜか目が離せない。明るい部屋で、しかも鏡の前で繋がるなんて物凄く恥ずかしくて嫌だけど、でも彼と繋がれることは嬉しい。そんなことを思うあたり、私はいつの間にかおかしくなってしまったんだろうか。
ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が鳴る結合部から液体が飛ぶのが見える。イタチが、私の腰を押さえながら首元を強く吸った。多分、もうすぐだ。

「イく…っ、」
「ん、あぁっ、あ!イタ、チ、イタチ!」

一際深く打ち付けられた腰、後ろから強く抱き締められた瞬間、自分の膣が痙攣するのが分かる。求められるがままに唇を重ね合わせて彼の男根がゆっくり抜き取られたとき、白い液体がつぅっと腿を滑り落ちていくのが鏡に写った。

「…癖になりそうだな、」


鏡の前で

(もう絶対無理…っ!!)


20130721
朱々

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