「これはなんだ?」  

久しぶりに2人でやってきたちょっと高級なラブホテルで、いざ甘い一夜を過ごそうと思った矢先、イタチがバイブ片手に私に思わぬ問いを投げ掛けた。
まさかイタチったらバイブの存在も知らないのね、これは得したわ、私に使われることがないように、変な知識を植え付けちゃおう。

「あー…それはね、彼氏のに満足できない女の子が使うものなのよ。」
「…まさか、」
「私は使ったことないわよ、イタチしか受け付けないから。」
「…それなら別に良い」

イタチは納得したように頷くと、手にしていたバイブを元あった場所に戻し、私の身体をベッドに押し倒す。
嗚呼、いよいよ2人の時間が始まるのね、最近はお互いに仕事が忙しくてなかなか会え
ていなかったから必然的にセックスもなおざりになってしまっていたし、今日は本当に幸せ。

「なぁ…」
「なに?」
「あれは…あぁやって使うものなのか…?」

イタチが指差したのは、たまたま付けっぱなしにしていたアダルトビデオが流されているテレビで、そこには男にバイブを突っ込まれて喘いでいる女の様子が映し出されていた。
途端に私の顔からは血の気が引き、これをどうやって彼に説明しようかと懸命に試行錯誤を繰り返していたのだが、その努力も虚しく、再びバイブを手にした彼はそれを私の秘部に宛がう。

「ちょ、っと待って…」
「これを入れると気持ちが良くなるんだろう?」
「ならない!」
「…お前はこれを使ったことがあるのか?」
「ないけど、私はイタチのが良いの、」
「そんなこと気にするな、今日は特別だ。」

ずっ、        

突然下半身に違和感がしたと思った瞬間、とてつもない快感が私を襲う。
あろうことか、いつの間にかスイッチを入れられたバイブが私の中に挿入されているのだ。
私はイタチを睨んだけれど、彼は全く気にしていない様子で、バイブを抜き差ししては私の反応を見て楽しんでいる。 

「…イタチ、止めて、」
「何を言う、気持ち良さそうに喘いでいるじゃないか、本当はもっとやってほしいんだろう?」
「そんなこと…ないっ、あぁあっ!」

完全にSっ気に火がついてしまったイタチだが、バイブを入れられて喘いでいる私を見てぽつりと呟いた。

「複雑だな…」

その台詞を聞き逃さなかった私は、すかさず涙目で彼の腕を掴み、必死に訴える。

「私…早くイタチが欲しい…」
「…そ、そうか、そうだよな、いつまでもこんな玩具が良い訳ないよな」

やった!これは私の作戦勝ちね、やっぱり彼女がバイブに喘いでばかりいると虚しくなってくるわよね、ぶっちゃけ計算外だったけど結果オーライだわ、文句はない。  

こうして私はようやくイタチと過ごすための本当の夜を手にする。


大人の玩具

(使いすぎには注意)


2009.5/3
暁 朱々

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