>> middle text 「あの…」 「す、すみませんでした!!」 言葉を聞いただけで逃げていった女子生徒。 女子生徒に逃げられ、一人立ちすくむ美女は手にハンカチを持っていた。 「……ハンカチどうしましょう」 困った表情を浮かべる美女…ナマエ。 彼女の容姿はまさに悪女がピッタリであった。黒く艶やかな長い髪と同じく黒真珠のように輝き少しつり上がった瞳大きな瞳。薔薇の様に赤い唇。すらりと長い手足に完璧なプロモーション。 妖艶という言葉がピッタリな彼女に合う色は赤。 「また、彼にお願いするしかないわ…」 困った様に眉を潜めるナマエ。その姿もまた美しいのは当然のことです。 幼馴染みの家族と家族と使用人以外のほとんどはナマエの事を生粋の悪女だと思っている。 どこで発生したのか不明だが、ドSで使用人を家畜の様に扱う、逆らった者はしゃかいてき地位を失う、無闇に関わると存在を消される、翻弄させた男は数知れず…様々な噂がより彼女の存在を悪女とした。 彼女がこの学園…氷帝で一番の権力を持つ令嬢という事が更に拍車をかけた。 もっとも、全て有り得ない事なのだが。 「…友人が欲しいわ…」 ふう…とため息をつく姿でさえ、色っぽい。 勿論、本人は狙ってやっている訳ではない。 幼馴染みの彼と家族と使用人に蝶よ花よと愛されて育った彼女は見た目にまったく合わず、あまりにも純粋だった。 幼馴染みの彼以外の男性は苦手とし、よってくる男子生徒に怯えてばかりだ。 勿論、令嬢の修めるべき教養は完璧にこなしているが。 「んぅ……」 声が聞こえてきて思わずナマエは体を強張らす。 因みに今は昼休みであり、ナマエは中庭にいた。花が咲き誇る中庭で食事をする事が密かな楽しみとなっていたナマエ。今日は少し肌寒いので膝掛けを持って中庭で食事を取ろうとした所で女子生徒のハンカチを拾ったのだ。 そんなナマエ声が聞こえた方をそっと見ると、そこにはくるくるとした金髪の男子生徒が眠っていた。 「起きて…ませんわね…」 胸を撫で下ろしたナマエはその男子生徒を見る。幼い寝顔に思わず笑みが溢れた。 その笑みは彼女にとって珍しく妖艶ではない笑みだが、誰も見てない事は惜しい事だ。 近くに座ったナマエは男子生徒のくるくるでふわふわの髪に触りたくなった。 ナマエは恐る恐る男子生徒のふわふわの金髪に触れる。 キーンコーン… 「あ…」 昼休みのチャイムが鳴るまでふわふわの金髪をずっと撫でていたナマエ。 あともう少しで授業が始まる。軽く男子生徒と起こそうとするが起きる気配はない。 むしろ、気持ち良さそうに寝ている男子生徒を起こしたくない。 ナマエは迷いに迷った上で、男子生徒に自分の膝掛けをかけて教室へと戻っていった。 それが、見た目狼さんなうさぎさんと、見た目羊さんな狼さんのほんわかなお話の始まり。 netaでちょこっと出した設定。 これで中編書きたかったけど…まあ皆様の反応しだいですな。 長太郎とジローどっちにするかずっと悩みに悩んでジローになりました。 ジローはロールキャベツ男子だと信じてます。 [*prev] [next#] [back] [しおりを挟む] |