名前ちゃんには勝呂くんという彼氏がいました。最初は恐そうな人で関わりたくないと思っていたのですが、同じ京都出身ということで意気投合してしまい、今ではすっかりラブラブなカップルです。付き合い出してからも相変わらず名前ちゃんは、いつも勝呂くんと一緒にいる志摩くんに口説かれたりするのですが、勝呂くんがかっこよく守ってくれるので心が揺らいだことはありません。それどころか、その男気にますます惚れ込み、勝呂くんのことを大好きになる一方です。
名前ちゃんは勝呂くんと結婚したいと考えはじめるほど勝呂くんのことが大好きでした。早く一緒になりたい、勝呂くんの全部を知りたい、という願望が強いのです。そのため、名前ちゃんには強い欲求がありました。
(( 坊の攻略法 )) 「ぼぉん」
「なん急に坊ゆうてん、やめろや」
名前ちゃんは勝呂くんの背中にすりすり頬を擦り付けますが、勝呂くんは熱心にお勉強中です。せっかく抜き足差し足忍び足で勝呂くんの部屋に忍び込んだというのに、あまりにもひどい仕打ちです。勝呂くんと相部屋の人は勝呂くん(の主に外見)にびびっていつも就寝時間まで帰ってこないそうなので、いちゃつくなら今しかチャンスがないのに、勝呂くんは残念なことにガリ勉でした。
「なぁなぁ」
「何や」
勝呂くんの背中を指でなぞりながらちょっかいを出しますが、勝呂くんには通用しません。黙々と勉強を進めています。
「何やって冷たない?せっかく遊びに来てんねんから構ってぇや」
「勝手に来ただけやろが。俺勉強してんねん」
「…」
「…」
「すぐろくぅん」
「静かにしぃや」
甘ったるい声で珍しく苗字で呼んでみましたが、ぴしゃりと言い返されて、名前ちゃんはしょんぼり肩を落としました。勝呂くんのことを後ろから抱きしめることしかできないなんて納得いきません。名前ちゃんは勝呂くんの首にちゅうとキスを落としました。
「竜士、えっちしたい」
「…」
そう、名前ちゃんの欲求とはこれでした。勝呂くんのことが大好きな名前ちゃんは勝呂くんの全てを知りたかったのです。勝呂くんのえっちな顔も見てみたいという願望があります。名前ちゃんは勝呂くんの背中に額をつけて甘えました。すると、勝呂くんは一言。
「ええ加減にせぇ」
どくん。名前ちゃんの心臓は大きく跳ねました。この誘いは名前ちゃんにとってとても勇気のいるものだったのです。拒まれたらという不安ももちろんありましたが、勝呂くんも名前ちゃんのことを愛しているという確信があったので言ったことでした。しかし、たった今、拒まれ、そう。名前ちゃんの心臓は大暴れです。
「 りゅーじ、」
「自分何歳や思っとんねん。まだ子供やぞ。そういうんは大人んなってからや。今はまだ責任とれる年齢やない」
「…」
そうでした。勝呂くんは真面目なのです。しかし、いくらなんでも冷たすぎます。勉強を進めながら言葉だけ突き刺していくのです。名前ちゃんは予想以上に傷ついたようで、ぶわりと涙が出てきます。でも、このまま引き下がるような性格でもありません。
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