駄ン文ロンパ72
2015/03/22 06:00

【中の人が上手いらしい】


田中「かーちっくどーもっがーあっつまぁあってーっ♪」すたすた

田中「む?」ぴたっ

左右田「〜♪」

田中「左右田よ」ひょこっ

左右田「ふぁっ!? ぎにゃあああああああああああっ! あわ、あわわっ! ちょっ、えっ、あううっ、あうぅっ……」

田中「……驚き過ぎだろう」

左右田「……き、聞いたか?」

田中「何をだ?」

左右田「あ、ああっ! いや、何でもねぇんだ、うん!」

田中「貴様の歌なら聞いたが」

左右田「やっぱり聞いてた畜生おおおおおおおおっ!」じだんだじだんだ

田中「……そ、其処まで荒ぶることもなかろう……」

左右田「うっせうっせ! 畜生っ、恥ずかしい……! 消えたい……!」

田中「……何故だ? 何故そのように乱れる」

左右田「……聞かなくても判るだろ……」

田中「判らん」

左右田「……だって……俺……だし……」ごにょごにょ

田中「聞こえん、はっきりと言え」

左右田「だからぁっ……その、俺……音痴だから……」

田中「……」

田中(は?)

田中(何を言ってるんだ此奴は。かなり上手かったぞ。なのに――)

田中「音痴?」

左右田「うっ……面と向かって言われるとキツい……」

田中「えっ、あっ、すまん……いや、そうではなくてだな。何故貴様は自分を音痴だと思っているのだ?」

左右田「いや、だって事実だし……」

田中「……何か遭ったのか?」

左右田「うー……まぁ、うん……前にちょっとな……」

田中「ふむ」

左右田「前の高校に居た頃にな、同級生とカラオケに行ったんだよ……」

田中「……ふむ」

左右田「そん時にさ、俺、歌ったんだよ……」

田中「……何か言われたのか」

左右田「いや、何も……何も、言われなかった……」

田中「なら何故」

左右田「……無言だったんだよ」

田中「無言?」

左右田「歌ってる最中も、歌い終わった時も、皆無言で……! じっと俺のこと見て……! 他の奴が歌ってる時は喋ったりしてたのにっ……! 絶句してたんだよっ、あまりにも音痴だからぁっ!」しくしく

田中(いやそれ聞き入ってたとかそういうアレじゃ)

左右田「だから俺っ、めっちゃ恥ずかしくって、用事思い出したって嘘吐いてっ、逃げてっ……でも次の日、またカラオケ誘われてっ、音痴だからっ、ば、馬鹿にされ……っ」ぐすぐす

田中(いやいやいやいや上手かったからまた誘われたんじゃないのか)

左右田「でも歌うの嫌いじゃないからっ、誰にも聞かれないとこで、歌っ……うぅっ」ぐすぐす

田中「落ち着け。よーしよし」なでなで

左右田「うぐぅっ……た、田中ぁ……」

田中「……左右田よ、俺様に今一度貴様の歌を聞かせてみせろ」

左右田「は、はぁっ!? な、何で……」

田中「俺様が直々に音痴か否か判断してやると言っているのだ、有り難く思え」

田中(これでちゃんと褒めてやれば、左右田も自信が付くだろう)

左右田「うー……でも……」

田中「先程も少し聞いたのだ、今更一回も二回も変わらんだろう」

左右田「……わ、判った……でも笑うなよ? 黙るなよ? 泣くからな!」

田中「判ったから早くしろ」

左右田「むぅ……じゃあ……」

左右田「……〜♪」

田中(やっぱりうめぇ……)

左右田「〜♪ 〜♪」

田中(……聞き入ってしまう)

左右田「〜♪ ……た、田中?」

田中(……はっ! 危ない、黙っていたら駄目だったな)

田中「何だ」

左右田「いや、どうだったかなって……」

田中「ふっ……この俺様の魂をも縛り付けるような魅了の歌声、正にセイレーンの如き恐ろしさであったぞ!」

田中(どやっ! これだけ褒めれば左右田も自信がt)

左右田「何言ってんのかよく判んねぇけど貶された気がする! うわああああああああん!」だだだっ

田中「って、ええええええええっ! 待って! 左右田待って! 貶してないから! 褒めたから! 標準語でちゃんと言うから待ってええええええええ!」だだだっ



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