文通と駆引3 重要な報告があった場合、見逃すことはあの男の失態に繋がる。お前はそんなことはしない
ハットリに、もうロブ・ルッチからの手紙を受け取ったとしても運ばなくていい、と告げた。その次に届けられた手紙にあったのが、それだった。
「……フハ、必死じゃないか」
あの男≠ニは、スパンダム以外にないだろう。たしかにスパンダムの為になるならばスペッキオは手紙を読む。彼の仕事の成功をこよなく望んでいるからだ。だが、この手紙にその目的としての重要性がないことなど、容易にわかる。
窓を閉ざしてしまえばいいだけのことだった。けれどもしかし────……。この細い糸を繋ぎ止めようとする文面があまりにいじらしかったので、もうしばらくだけ、風を通しておくことにした。
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