文通と駆引1


窓をコツコツと鳴らす者がいた。

「……ハトくん……?やあ、また君か」
「ポッポー」

先週、謎の手紙をたずさえてスペッキオの部屋へやってきたハットリが、今週もまた現れた。窓を開けてやれば、スペッキオのその手に乗って、脚に括りつけられた筒を触らせ存在を知らせてくる。

それからも定期的に、スペッキオの元にはとりとめもない話が書かれた手紙が届くことになる──────。






ハットリの好物は豆だ

「…………?」

二通目の手紙もまた、困惑させられる内容だった。今度は言葉の意味こそ理解できるものの、何を伝えたいのか、またしても意図までは不明である。シンプル過ぎて暗号めいているが、仕事の連絡ならば別ルートで確保されているとスパンダムは言っていた。ならばこれは、一体?

「…………」

スペッキオはやや考え込んで、ハットリに報酬をあげろということだろうか、と思い至った。例えそうでなかったとしても、遥々とひとりでやってきた彼をもてなすことは正しい待遇だと感じた。

「食堂へ行けばあるんじゃないかな」
「ポッポー」

その後、豆を手に入れたハットリは、近くの開いていた窓から飛び立っていった。


  
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