ゆるやかにゆるゆる、
ゆうるる、ふわり、
おれの頭を撫でている手がそこにちゃあんと在ってくれている。
(あったかい、)
おれは寝たふりをしながら考える。
てのひらの温度が伝わってきて、
でもなんだかそれだけじゃなくって。
それは、ちょっとだけ泣きたくなるようなあったかさみたいなの。
そうゆうのが、体の真ん中あたりで熱を持って、じゅわっと入浴剤みたく広がっていく感じ。
水にぷくぷく溶けて、混ざって、色をつける。
だかさんのてのひらは、ぐずぐずに変色してしまいそうなおれの中身に、いともたやすくそんなふうに染み込んでいく。
そうだな、その色のイメージをあげるとしたら、今はとりあえず、夕焼けみたいな色。
その時によって、雲が少しだけある日の晴れ空みたいな色だったり、星が明るい夜みたいだったり。
生えたばっかの木の芽とか、咲き始めの朝顔だとか、昨日食べたスイカバーの色だとか。
いろいろ変わってくけど、なんにしたって、だかさんがくれる色はいつだってやさしい。
たまらなくなって、手を振り払いたくなるくらいにそうなのだ。
ひどいくらいにやさしくて、それがほしくて、でもおれは、だかさんのてのひらが嫌になるくらいやさしいのと同じぐらい臆病者で、卑怯で、だからつまり演技をする。
ゆるり、ふわわ、
おれが寝ていると、くせなのかなんなのか、だかさんはよくおれの頭をこうやって撫でてくれるから、それをよくよく知っているおれは時々わざと寝たふりをして、だかさんのてのひらを今か今かとこのようにして待っている。
わざと身じろぎをしては、寝息を立て。
お上手な自分。
目を開けたまんまじゃあ怖くて出来やしない。
手に入らないかもしれないから。
くすんでいく思考の中でどうしようもなくなるとこの手に頭を撫でられたくなって、なのにこんな形じゃなきゃ叶えられない。

(だかさん、)

ゆっくりとおれを撫でる手は、おれの汚い部分も無様でどうしようもないところも、知ってなんかないはずのに、やっぱりどうしたってやさしくて、やさしくて、やさしい、から。

(だかさん)

(だか、さん)

与えられるだけの、温度が溶けて、広がって、色になる。
混ざって、おれの中の認めたくないような気持ちだとかを中和していく。
重くなるような、胃の奥の鈍い熱はほどけてにじむ。
ああ、すきだな、
そう、ぼんやり思う。

(だかさん)

(ひだか、)

(けー、すけ、)

頭の中で呼ぶごとに、返事みたいにてのひらがおれを撫でてゆくから、なんだかおれは困ってしまう。
もしかしたらだかさんは、おれが寝たふりをするのと同じように、鈍感なふりをしているだけなんじゃないだろうか、なあんて。

(ははは、そんな、まさかなぁ)

内心で笑って、だかさんから見えないよう、おれは顔の位置を少しだけ下へずらした。
ちょっとだけ、なぜだか涙が出そうになってしまったのだ。
ごまかして、ふざけて見せるしか距離の取り方がわからないおれにはこんなのって耐えられない。
寝てる時の生理現象だなんだと、そんなものあるのかどうかはしらないけれどとにかくそういうことにして、おれはそろそろ起きるふりをすることにしようかと小さく体をふるわせた。 
どうか、気づかれませんように。
どうか、気づかれてしまいませんように。

(あ、ホント、マジで気づかんでよね、だかさん、)

だとか、ああ、音のない教室におれの鼓動がうるさいなぁまったく。
今こそ大声だして泣きわめき散らしちまいたいぜ。
鳥肌の立つおかしな緊張感に、体が少しだけかたくなる。

「‥‥‥んんー‥、」

「‥あ、たいき‥起きた?」

呟きと一緒に、おれを撫でる手が止まって、はなれていく。
それがもったいなくて、ほっとして、おれはなるべく寝起きみたいな声を出しながらぼんやりして、それからだかさんをじっと見て、おどろいたようなふりをした。 

「‥‥‥んー‥ぅえ、‥ん?‥‥あれ?え、だかさん?ちょ、え、もう部活‥終わってた!?」

「あ、うん。それでちょっと前に教室ついたとこだったんだけど」

「うわ、マジで!?全然気づかんかったなー‥起こしてくれりゃよかったのに、」

「でもすごい気持ちよさそうだったからなぁ」

「えー‥なんか、ごめんなー‥」

「や、逆にこっちこそごめん。起こさなくて」

「いやいやいやいや、おれ待ってるとか言っといて寝こけてたし、おれが悪くね?」

「うん、ごめんな」

「‥‥‥。だからさー、なぁんでだかさんて‥‥あー‥、うん、ま、いいや。‥うん、おれもごめん。はいっ、てわけで謝りっこはこれで終わりな!てわけでよし、帰るべ!!」

まだもごつくだかさんを無理矢理に引っ張って、おれは自分の鞄を肩に引っ掛けて教室を出ていく。
そうだ、なんでもなかったふりをしなくては。
考えながら、だかさんの手にはさわらない。
さわれない。

(いいや、おれに、さわれるわけがないんだ、)

だってそこには、面倒なくらいにたくさんのやさしいものが詰まっている。

(そんなの、こわいよ)

いらないものなら簡単に捨ててゆけるのに、
こんなにもおれは怯えている。
正面からなんて、受け止められない。
おれの後ろをついてくる2つの目は、おれをじっと見つめ返すから。
何もかも見透かされてしまいそうで、どうにもだめなのだ。

(こわい、)

(おそろしい)

だけれど、だのにその手が時たま、なくてはどうにもゆかなくなってしまうから、おれはこんな下心の籠もった演技をする。している。せざるを得なくなる。
ばかだね、と自分でも思うけれど仕様もない。

(あーもうホント、)

(なあ、だかさん)

(お前って奴はさあ、その手の内に一体どんな仕掛けを施してんの?)

本当に、不思議で不思議で仕方ない。
魔法のてのひら。
ぐるり、臆病者は目を回す。
(ああ、)
もしも、それが欲しいとおれが口にしてしまったら。
ねえ、いつか、この魔法は解けてなくなってしまうのかな、
















たい→→だかな感じ‥‥‥‥‥のつもりなんだけど、んはー‥‥なんか、やっぱだめだなぁ‥結構な乙女入ってるZE!(笑)
だかさんからたいきに矢印出てるのがあんま浮かばなくて、勢いでポチポチした結果がこれだよ!!(オトメンたいき?)

たいきのもやもやに実は気づいてて、分かってる上でこんなだかさんとかすごくいいと思うんだけどどうだろうか。超私得(笑)

全力でやまなしおちなしいみなしな話しか増えないのがなんかもうおぶろろろだけど、まあもうそうゆうアレだからいいか。

それより、やでおでいな以前に雰囲気と勢いだけしかないのが‥‥あ、いやなんでもないです文体なんか知らないよおおお!

ああ、しろゆーとかも書きたいけど勇気出ないずぇー‥‥眠い←






不可解な魔法/太祈と圭佑/CP
2010/06/09 02:09



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