「別の世界、ねぇ…」
「いや、これはあくまで私の勝手な推測ですけれども…」
怪我が具合が気になるのか、このエーフィなる猫のような生き物は俺の腕をつんつん触ってくる。地味に痛いからちょっと止めてほしいのだが、可愛らしい生き物なので注意をすることも出来ない…。
翔子さんの話はこうだ。
シロガネやまなる山を登山中、洞窟に入る前までが天気は大荒れ、吹雪だったというのだが、洞窟を出ると晴天になっていた。
そこから、野生のポケモン(こいつらのような不思議な生き物の総称だという)に一切出会わない。
そして暫く歩くと地図も表示されない(そういうものが表示される機械があるらしい)。
遭難してしまったのかと絶望していると、肩にのっていた「とめさん」がどこかに向かって走り出し、追いかけた先に、
俺がいた。と。
「……正直なところ、信じられませんが…」
「…デスヨネー」
「しかし、その、とめさんのおかげで毒を消していただけたわけですし…」
「あ、とめのことは好きに呼んでください。」
名前が一緒だなんて呼びにくいでしょうが…。と翔子さんは苦笑いをする。
「…じゃぁ、とめ、でいいか…?」
言葉が通じるのだろうか。許可をくれるように擦り寄る。
「あ、ところで包帯巻いたはいいんですけど、脚も相当お怪我されているようで。もしよろしければお送りいたしましょうか?」
「いや大丈夫だこれぐr…っ!」
痛い。まずいな、本当に立てそうにない。しかし、命を救ってもらったとはいえ、関係のない人間を忍術学園に招き入れるわけには行かない。ここはなんとか自力で帰らねば。
「ほら!無理に立っちゃダメですって!」
「…これぐらい、なん、とkイッデェェエ!!!」
無理に立って歩こうとすると、あろうことかとめが俺の脚の傷のある場所に体当たりをしてきたのであった。
そして膝から崩れ落ち、一番デカイ傷のある太ももが大打撃を受けたのであった。
「うわあああとめなにしてんのぉおおおおおおおおおお!!悪化しちゃうでしょぉおおおおおおおお!!!」
「エーフィ!」
「あ!?とめさんがそんなことするから悪化するんでしょ!」
「エ、エーフィィイ!」
「そういうことじゃなあぁぁああいい!!」
なんでだ!なんで話が通じているんだ!俺にはサッパリわからん!
「エーフィィイイ!!」
「わかった!わかったからシャドーボールだけはらめぇええ!!」
ますますわからん!
「と、いうわけで食満さん、とめさんがこれ以上食満さんを歩かせたら私のことを殺すと脅しにかかってきているので」
「!?」
「大人しく私に送られてください!」
「は?」
「頼むよもんじろー!」
「はぁ!?」