「もんじろー!頼みがあるだー!ちょいと君のその逞しい背中で怪我人を運んではくれないだろうかーー!!」
翔子さんが小屋の外に向かって何か丸い玉を投げ、地につき突然その玉は光り、そこに現れたのは
かなり大きい、山犬のような生き物だった。
あまりにもこの子は大きいので外に出ましょう、と抱えられながら外に出た。
敵の気配はない。もう追ってはこないみたいだ。
………今はそんなことを言っているバヤイではない。
「この子はライコウといいます!伝説と吟われるポケモンなんですが、色々わけあって私と一緒に旅をしてる子なんです!」
こいつの名前は、文次郎か。
また俺の知り合いと同じ名前の獣が現れるとは。しかもよりによってあいつかよ……。
カッコいいなおい!
「グルルル…」
「いや女しか乗せない主義ってあんたむしろ私しか乗せないくせに」
「…」
「お願いよもんじー。あの人足怪我してまともに歩けないんだ。」
「!」
「おうちに送り届けてやりたいの。ね、お願い」
「…」
文次郎と呼ばれるライコウというぽけもん。
俺の足に近づき匂いを嗅ぐようなしぐさをしてきた。
近くにくると、本当にデカイ…。俺よりデカイんじゃねぇのかこいつ…。
いつの間にか肩に乗るとめを視界にいれ、二匹で何かを語り合っていたのか、小さく鳴き声を飛ばしあっていた。
その後文次郎は俺に頭を撫でるよう要求するように顔に擦り寄る。
く、食われるかと思った…。
口許を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細めた。
「とめさんももんじも懐かせるだなんて、食満さんすごいですね」
一度文次郎はペタリと座り込み俺が乗りやすい体勢になってくれた。
もう一度翔子さんに抱えられ文次郎の背中に乗る。
ふわっふわで気持ちがいい。
これは竹谷が喜びそうな生き物だ。
「とめさんどうする?一緒に乗る?」
「(フルフル)」
「そう?じゃぁボールでねんね」
さっき投げていたボールをとめに近寄らせると、淡い光を放ち、とめはそれに吸い込まれていくように消えた。
つまり不思議な何かであのボールの中にいるというわけだな。OKもう順応してる俺。
「ほんじゃ行きますかね。もんじ道わかる?」
「え?」
「もんじは鼻が凄く利くのと、かなり先の地形とかも読み取れるんです。多分さっき食満さんの匂い嗅いでたから、同じような人がいるところに向かってくれると思いますよ」
でかくてカッコよく頭もいい。
あいつとの共通点は何もないではないか。なんでこんな名前にしたんだ。
「出発しますよ食満さん。私にでいいんでしっかり掴まっててください」
その言葉を聞き終わった頃には、
もうさっきまで居たはずの小屋は見えなくなっていた。