5.団子を買う

今日は忍術学園は休校の日だった。

お昼過ぎぐらいに鉢屋先輩と尾浜先輩が学級員会委員長会議(お茶会)をしようと1年長屋に誘いに来てくださったのだ。

午後は、僕と彦四郎でテスト勉強をしようと思っていた。

「ありゃ、テスト勉強するの?」
「えぇ、彦四郎とやろうかと…」
「じゃぁ、俺と三郎が教えてあげようか?」
「本当ですか!?」
「いいだろ三郎?」
「あぁ、私は別に構わないぞ。」


何せ退屈で死にそうなんだ。

そう頭をかく鉢屋先輩は、今日も不破先輩に変装している。
尾浜先輩を見ると、苦笑い。

どうやら五年生は本当に今日は何も無い日らしい。


「鉢屋先輩、僕、算数を教えて欲しいのですが!」
「いいよ。庄ちゃんは算数ね」
「尾浜先輩!僕は兵法について」
「わー!ストップストップ!そういうのはお茶を用意してからにしよう!」
「何処でやりますか?」
「今日は雷蔵が図書委員会で図書室にいる。私の部屋に来るかい?」
「「お邪魔します!」」


お茶会、基、勉強会は鉢屋先輩と不破先輩の部屋でやることになった。

僕と彦四郎で先輩の分のお茶を用意して、
五年長屋に戻ってくると、部屋を出て行く尾浜先輩と鉢屋先輩がいた。


「先輩方?」
「どうされたんですか?」

「庄左ヱ門!彦四郎!すまん、ちょっと部屋で待っててくれないか?」
「如何なされたんですか?」
「どうやら私の部屋のお菓子がもう底をついていたらしい…」
「えっ、」
「ちょっと町まで買ってくるから、部屋で待っててくれ」
「僕等、お菓子なんていりませんよ!」
「いやぁ、勘ちゃんがなぁ…」
「俺、糖分ないと勉強とか出来ないから!」
「はぁ……」


そうだ、尾浜先輩はすごい甘党だった。
常に甘いものを食べているようなイメージがある。

それなら仕方ないと彦四郎に目をやると、彦四郎はこっちを見てニヤッと笑った。

彦四郎の笑いの意味はすぐわかった。


「「先輩!僕等でお使いに行ってきます!」」

「えぇっ!?」
「二人で!?」

「僕等でもお使いぐらい出来ます!」
「任せてください!」

「いや、でもほら、お菓子食べたいって…」
「言い出したのは俺だし…」

「勉強を教えていただくのですから!」
「それぐらいさせてください!」


僕も彦四郎も町にお使いぐらい出来る。

さすがに先輩たちほど足は速くない。ちょっと時間がかかるかもしれないけど…
これから勉強を教えていただくんだから、それぐらい行かせて欲しい!


「…ここまで言われちゃぁなぁ」
「うーん…任せていいの?」

「「はい!」」


「じゃぁお茶は私が預かるよ」

鉢屋先輩は僕達からお茶の乗ったお盆を取り部屋へ入っていった。


「じゃぁこれお金ね。」
「はい!」

「赤い看板の櫛屋さんの隣にある団子屋さんのお団子を4本買ってきてくれる?」

「解りました!」
「何団子ですか?」
「二人が食べたいものを買っておいで。あそこは俺と三郎のオススメだから、何を買っても美味しいよ!」
「はい!」
「じゃぁ行って来ます!」

「知らない人について行っちゃダメだからねー!」

「「はーい!」」


尾浜先輩たちのオススメのお菓子屋さんなら絶対美味しい。
彦四郎も僕も、お菓子は興味なかったけれど楽しみになってしまった。


「あれぇ?彦四郎君と庄左ヱ門君、今からお出かけお出かけぇ?」
「小松田さん!」
「僕等これからお使いなんです!」
「そっかぁ、なんだか一雨きそうだから早く帰っておいでねぇー」
「はい!あ、出門票ください!」
「はい、ここにサインしてね」
「はい!」


「はい、確かにー!」と、小松田さんはサイン済みの出門票を満足げに見て
校門の横の出入り口の鍵を開けてくれた。



いくら先輩たちより足は遅いとはいえ、
あまり待たせるわけには行かない。

すぐ買い物を済ませて帰ってこよう!




町にはすぐ到着した。

だが尾浜先輩が言ってた
"赤い看板の櫛屋"さんが見当たらなかった。

新しく出来た店なのだろうか。
僕も彦四郎も知らなかった。

ちゃんと場所を聞いてくるべきだったかな。


しかも今日という日に限って、町は物凄くにぎわっている。


これじゃ何処になにがあるのかさっぱりわからない。


「庄左ヱ門、どうする?」
「うーん、町の人に聞いてみようか?」
「そうしようか」


とりあえず手当たり次第の人に聞いてみた。

やっと何人目かの人が知っていて、
どうやら町のはずれに新しく出来たお店らしい。


「あった!」
「随分町のはじっこだね。これでよく繁盛してるよ」
「庄左ヱ門たら相変わらず冷静だね…」
「予定より結構時間おしてるし、すぐ買って帰ろう!」
「うん!」

「お客さん一杯で混んでるし、僕が買ってくるから彦四郎は外で待ってて?」
「わかった。ここにいるね」


お店に入るとたくさんのお客さんが居た。
さすが尾浜先輩のオススメの店だ。これは絶対美味しい。


みたらしと醤油と、あんことのりまき。


全部違う味を買った。
どれにしようか悩んでいる尾浜先輩が目に浮かぶ。

お金を渡して、おつりを懐にしまう。

よし、お使い完了。




「彦四郎お待たせ!………彦四郎?」













お店から出ると、

彦四郎が見当たらなかった。
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