7.山に落ちた

…身体が痛い。
……ちょっと真面目に死にそう。



むしろなんで死んでないんだろう。

首輪をはめられて打たれて刺されて海に落ちて。

それでも私は死んでないというのか。


どんだけ生命力強いんだろう。



まぁ、どうせここまでやられちゃ助かんないだろうし、
弾丸も身体を貫いてるし、
投げられたちっちゃい刀もどうやら背に刺さりっぱなしだ。



せめて死ぬ前に首輪だけでもはずしたい。

こんな屈辱的な物くっつけたまま死にたくはない。



途切れそうになる意識を必死に呼び寄せ
なんとか目を空ける。




ここは………緑……?


…え、………山の、中……?




どこかの島に流されたとでもいうのだろうか。
流されて上陸して山の中まで運ばれた?

いやいや、それはありえないだろ。


でも、…海の匂いが全くしない……。




微かにするのは私の身体からするのだろう。




小雨か。


あぁクソッ、血で鼻もききやしない。



これぐらいの雨なら姿も変えられるか。
もう少ししたら歩こう。

ちょっと休める場所を探したい。


というかあるのならば治療できるところを探したい。


あわよくば、この首輪もはずしてもらいたい。




近くに町は無いかな。

人の匂いはするのに。





…え、する……?






え、人の匂い?

すぐそこで?



ガサガサと背後から足音が聞こえる。


聞く限り歩幅が小さい。

子供だろうか。





「ハァッ…!ハァッ…!」
「庄左ヱ門!この辺で一旦休もう!」
「ダメ、だよ…!またあいつ等が来たら今度こそ僕も彦四郎も、捕まっちゃう…!」
「だって、さっき脚挫いてたじゃないか!」
「これぐらい…ハァ、大丈夫だよ…!」
「大丈夫じゃないよ!」
「学園までまだ距離があるんだ…!早く帰らないと…、…ただ、でさえ、日も落ちて、…ハァ、ハァ、…周りがわかんないのに…!イッ、たい…!」
「庄左衛門!」


背を預けている木のすぐ裏から子供の声がする。二人。

一人は負傷者か。



あー、お姉ちゃんが生命力MAXだったら
君等を背に乗せて送り届けてやったのに。

虎の背だぞ。乗ってみたいだろ。

まぁ悪魔の実の能力者といえば
少し怖がられるかもしれないけどね。



「庄左ヱ門!庄左ヱ門!」
「彦四郎、…学級委員会、会議用の、お菓子は…?」
「無事だよ!でも今それどころじゃないだろ!」
「ハァ、ハァ……ちゃんとそれ、持って帰ってね。鉢屋先輩と尾浜先輩の、オススメなんだから…」
「ダメだよ!庄左ヱ門も一緒に帰るんだから!!」


あ、やばい。なんだこの会話超可愛い。
ちっちゃい子の友情たまらん。

ポン酢で食べたい。



「ここに居やがったか!」

「うわぁあ!」



お、なんだなんだ。今までいなかった大人の声かする。


おーい、大人。この木の裏に死にかけがいるんだ。
できればその子供より私を助けてくれないか。

あ、いや、その子供も助けてあげてくれ。
どうやら脚を挫いてるみたいなんだ。



「彦四郎だけでも逃げて…!!」
「嫌だ!庄左ヱ門を置いてはいけない!!」




…ん?



「梃子摺らせやがって…。もう逃げても無駄だ!」
「お頭ぁ!ガキども見つけましたよ!お頭ァア!」

「うるせぇ!わかってらぁ!」


…んん? その子供の保護者、ではないのか?


「なんだ坊主、脚を怪我したのかぁ?」

「庄左ヱ門に近寄るな!」
「彦四郎…!」

「あぁあぁ大丈夫だよ。どうせてめぇらみたいなクソガキを買い取る物好きなら
 傷物だってかまいやしねぇんだよ」







あぁ、なるほど、人攫い。

こんな山奥にもいるのか。







「早くこのガキ両方とも縛っちまえ」

「「オッス!」」

「やめろ!庄左ヱ門だけは逃がせ!」
「彦四郎!」

「泣かせるねぇ。安心しろ。お前等セットで売ってやっから」
「大人しくしてろぉ」

「やめろ!庄左ヱ門を離せ!!」
「彦四郎を離せ!!触るなぁ!!」








「「誰か助けてえ!!!」」

























「おら、その汚い手とっとと離せ。」







お姉ちゃん君等みたいな子供大好きなんだわ。
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