14.爆発する輪

「これなんだけどさぁ」
「く、首輪?」

伊作の話によるとあの女の人、基「香織さん」の首についている首輪がとれないらしい。

とりあえず、何故首輪なんかをしているのかと言う疑問が浮かぶ。まぁ、今この場にいる誰かに聞いても返答は返ってこないだろうからその疑問は心に止めて置いた。多分他のやつ等も思っているだろうが。

このご時世だ。どうせおかしな性癖のやつにでも飼われていたのだろう。


伊作の呼び出しに部屋を出ると他のやつ等もついてきた。

保健室につき中をのぞくと、庄左ヱ門の姿はなく、部屋にいるのは土井先生と数馬、左近と新野先生だった。
庄左ヱ門はもう脚の固定は終わったので部屋に戻したらしい。


「この首についてる首輪が邪魔で、首の傷の治療だけできないんです」
「ヘタに動かして傷に触れても悪化させてしまうでしょうし…」
「先ほど衣服を調べさせてもらったのだが、どこにも鍵らしいものは見つからなくてな…」
「土井先生が留さんなら用具委員だし、もしかしたらはずせるかもって」

「まぁ、簡単なものならはずせるだろうが…」


香織さんの枕元に座り込み首輪を触る。

さっきより血もふきとられているからか血色が良く見えた。


「久々知、すまんが用具倉庫から金槌と細釘をとってきてくれないか」
「わかりました!」

その間に首輪を調べるフリをして彼女の身体を見る。

今回負傷した傷以外に傷らしいものはない。顔も今はだけている胸元にも脚にもソレらしいものはない。
転がる武器にも暗器らしいものもない。

やはり彼女は白だ。くノ一には見えない。


「食満先輩、とってきました。」
「あぁすまん。ありがとう」

鍵穴にあわせて釘を少し曲げる。もしものときのために細い釘を買っておいてよかった。

少しずつ複雑に曲げた釘を鍵穴に差し込む。よく見ると首の傷も凄いな。あまり動かさないようにはずした方がいいかもしれない。
カチリと音が鳴り、結合していた部分がずれる。

よかった。無事外れたようだ。


「うわ!さすが留さん!ありがとう!」
「はぁ…これで治療ができるな」
「うん!ありがとう!」

伊作が傷薬を出している間に土井先生が香織さんの首をあげ、俺が首輪を引っ張った。

しっかりした鉄で出来てる。こんなもの見たことない。






ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、







「?」
「何の音?」
「…これか?」






ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、







「その首輪から音がするのか?」
「多分、そうだろうな」
「どうせそんなものこの後役には立つまい。その音は耳障りだ。学園外に投げ捨ててしまえ」
「そうだな」







ピッピッピッピッピッピッ






「ほら長次、レシーブ」
「……もそ」

「任せとけ!いっけどんレシーブ!!」




ピピピピピピピピピピピピピピ






小平太がレシーブをキメ塀の外に首輪が飛ばされたその時








ピッ












「伊作、その人の症状h









ドォオオン!!!














「「「「!?」」」」








あの首輪がとんでもない勢いで爆発した。












「んなっ、」

「なんで…」

「爆発なんて…」

「小、平太…貴様の力はそんなにも…」

「わ、私は何もしていない!」









これがこのままこの人の首についていたら。

その最悪の事態を想像したのか、

全員の視線は香織さんという謎の人物へ向けられていた。
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