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奥まで辿り着いた楸瑛はあたりを見渡した。


「おかしいな、いないだなんて」


詮索してみれば、一部床だけ、足音のなり方が違う。


「隠し扉とは、いやはや、ここが客人邸なのは確信的ということかな」


これだけ凝った凄い造りなのに、一般市民の邸だという方が無茶だ。楸瑛はすらりと剣を抜き、見当つけたあたりに軽く引っ掛けて開くか試してみる。何箇所か試したところで床は動いた


「地下通路か」


床のあいた先を覗き込んで楸瑛は呟く。しかし、地下の割には意外と明るい。どういう原理だか分からないが、日の光取り入れる造りになっているらしかった
そして、明るいその空間の先には、隠れたつもりであろうとばればれな櫂兎の姿。あまりにも必死に隠れたつもりでいるようだから楸瑛は思わず吹き出してしまう。――腕、見えてます、棚夏殿。


櫂兎の隠れた一見藁積まれたところは、全て米俵のようだった。奥にもあるようで、貯蔵量は膨大、一体一人でこれだけどうするつもりなのか


楸瑛は取り敢えず、米俵からはみ出た櫂兎の腕をとった。


「棚夏殿」


「いぃぃぃいいやだっ!」


「まだ何するも言ってませんよ」


そうして楸瑛はぐいと櫂兎を引っ張り出す。細い腕は折れてしまうんじゃないかとヒヤヒヤしたが、案外櫂兎に力あり本気で引っ張ってしまった。


「痛った…」


「すみません、棚夏殿。しかし調べたいことがありまして――」


「俺は男だああああ!」


「いや、それは分かってます。そうじゃなくて…」


櫂兎が尚逃げようとしたところを、楸瑛はがっちりと両手掴み床に押し倒した。機からみたら彼を自分が襲っているようにしかみえないが、仕方ない。


「棚夏殿、失礼して……」


櫂兎の服に楸瑛が手を伸ばす。


「やだああああああ!」


もがくにも腕は固定されている。押し倒す楸瑛の手際のよさに櫂兎は戦慄した。


(見上げたもんじゃないが、百戦錬磨なだけはある…っていうかこいつまさか常春度がMAXで見境なくなったんじゃ――)


服に手をかけられ櫂兎は叫ぶ


「ひぁっ、ちょ、やぁ、っぎゃああ助けてええええええ」


「何もしませんってばあああ!」


はだけられた服から落ちる『さいうんこくげんさく』(ボロい)、ライター、そして…………

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