33333Hit-3

「あったぞッッ!!!!!」


「おおお!」


「やるねぇ、絳攸」


発見に三人が歓喜の声あげるのは、夜もすっかり更けた頃だった。ぺらりぺらりと捲り、必要な情報を拾う。そして、邸の場所の記述を別に書き写した。
白銀色の月を見て、劉輝は言う。


「訪問は流石に明日になりそうだな」


「では、今日はお開きにしましょうか」


楸瑛の言葉に、二人は頷いた。









「意外と遠めなのだな。州門に近い」


「碧区や藍区ほどではありませんけどね。あ、絳攸、そっちは逆方向だよ」


「わっ、分かってる!」


棚夏殿いないと迷うねぇ、と楸瑛はつぶやいた。彼は、少し前に吏部尚書と何かあったらしく、冗官処分となっていた。詳しいこと知らぬ楸瑛は、その言葉に顔を固くした絳攸に気付いては、さりげなく話題を変えた。


「に、しても『王の客人』本人の確認方法は結局、書状に記された名と所持者の名が一致していること、だっけ。偽名名乗ってたらどうするんです、主上」


「後日、戸籍を調べる」


そう言ったところで、丁度目的の邸に着いた。そこは、上品な構えで庭も綺麗に整えてあり、邸の主の感性のよさが感じられる空間だった。ただ、広く大きい邸であるのに、立派な門には門兵はおらず開け放されており、先程から一度も回廊を侍女やら家人が通らないのだ。そのくせ妙に綺麗で寂れてはいないから、人が住んではいるのだろうが


「……ど、どういう風にして行けばいいんだ?」


絳攸は戸惑いつつ劉輝をみた。楸瑛も劉輝に目を向けた


「主上、先頭立っていってくださいよ。ほら、ごめんくださいって」


「や、いや、だがその、入りづらいではないか」


「えいっ」


楸瑛は劉輝を邸の敷地内に軽く押しやった。


「……楸瑛」


「ほら、ちょっと入ったらあとは一緒でしょう?」


にこにこと笑う楸瑛と、傍観決め込んだ風な絳攸にピキリと怒り抱いた劉輝は二人の腕を引っ張り、彼らも敷地内に入れる。そしてにやりと笑った。


「二人とも入ったなら、余と一緒だ。行くぞ」


「おっ、俺は嫌だぞ。俺の専門は頭脳労働なんだ!」


そういう絳攸は、今回の事態について、考えることを放棄していたが
楸瑛はやれやれと首を振り、隣で嫌だ嫌だという友人に、諦めろとぽんと肩叩いた。


そうして邸の玄関扉前に三人は立ち止まったまま、しばし動かなかった。

3 / 7
33333Hit
Prev | Next
△Menu ▼bkm
[ 戻る ]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -