目の前にかざされた袋を清苑は睨んだ。
「何だこれは」
「見ての通り、甘露茶だな」
そう言ってのけた燕青に呆れかえる
「そういうこと言いたいんじゃない、高いだろうこれ。無駄な浪費はだな…」
「買ってねえって、貰ったんだ。折角だし飲もうぜ」
「……ふん」
肯定も否定もしなければ、勝手に湯の用意をしだす燕青
舌打ちをし、湯呑を二つ用意した。
こぽこぽと湯の入る音。そして独特な甘い香り
まるで其処だけ、いつもの喧騒を忘れたようだった
「そういやその甘露茶くれた奴が言ってたんだけど、『甘露茶は大切な人たちのためにだけ淹れるって子がいる』らしいんだあ」
「……だから何だ?」
「セイもそうやって淹れてくれる奴できたらいーな」
「……お前は淹れてくれないのか」
ボソと言った言葉に燕青は笑顔になった。
「お前が淹れてくれるってなら、淹れてやってもいーケド?」
「…………」
無言で燕青の空になった湯呑を引ったくり甘露茶を注ぎ足す
満足そうな燕青の顔は妙に憎らしい
「淹れたんだから、淹れろ」
「はいはい」
同じ甘露茶なのに、心なしか自分で淹れるより甘ったるい気がして、さっきからにやけている燕青をぺしりと叩いた
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bkm