試されて試されて 23
トロッコを使えば茶州まで約一週間で行けると分かった。
確かに物凄く速かった。途中最高速度これ出てんじゃねーのと思う場面ではあまりの向かい風の強さにトロッコに伏せるほどだった。しかし速過ぎだろう。直線距離なのもかなりの強みだ。


そして、分かれ道の一つが茶家行きとなると。残りは六つ、心なしか各州方向へと伸びている。これは…各州お家直行便だとしか思えない。


ちなみに紫州行き(?)と思われる分かれ道の方向は朝廷。
今日はこれに乗ってみる。


「ひゃっほおおおー!」

距離は分かっているので妙な安心感がある。

さほど時間もかからずに、トロッコの勢いは緩やかになり止まった。

開けた場所にいけば、階段ではなく梯子があった。


上れば横穴のようなところに行き着き、這ってすすめば縄梯子が綺麗にまとめられ置いてあり、そのそばに取っ手が付いていた。


床に耳をあててみる。………物音一つない。無人だろう


取っ手を引き部屋を覗き込む。

……殲華の室じゃん!?
俺が殲華と初めて会った場所だった。

天蓋ベッドに足が届きそうだったので、縄梯子は使わずそちらに飛び移り天井を閉める。そして天蓋ベッドの淵を掴みくるりと身を翻してベッドに落ちる。

ぼふんと音がして心地よい柔らかさ。王様のベッドは流石である。


そこで戻るためには縄梯子使わないと上れないことに気づき、慌ててこっそり開いていた扉から室を出て、庭を走り宮廷の塀をよじ登り外に飛び出た。


おお、怖いこわい。見つかったらただじゃすまなさそうだし。



室に戻った殲華が、何故かへこんだベッドの掛け布団の山を見て首を傾げるのはそう遠くない話。

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空中三回転半宙返り土下座
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