座り、待つ薔薇姫に俺は声をかけた。
「待ってるって、いいよな」
「…待ってなど、おらぬ」
まるで言われて初めて今自分が邵可を待っていることに気づいたような反応だった。しかもそれを認めようとしない。
「人に期待はやめたから、か?」
「煩い、知った風な口をきくな」
途端に拗ねたようにそっぽをむく薔薇姫に苦笑いする。どうやら機嫌を損ねたらしい。
「俺、薔薇姫に礼儀作法教えてもらったら、もうちょっと紳士淑女らしく振る舞えるかな」
「それは…まあ、妾が教えるのであるから、そう、じゃろうな。」
「二胡も、薔薇姫上手いよね。俺、感動したもん。俺にはあんな風に心のせては弾けないな」
「まあ、妾じゃからなっ!」
どこか嬉しそうにぶんぶんと手を振る薔薇姫
「ここ出たら、教えて欲しいな、色々。」
ぴた、と薔薇姫がとまる
「別に、此処でも教えてやれるじゃろ? おぼえたら、そなたは帰ればいいのじゃ」
「嫌だ。嫌だったら嫌だー」
「ほんに櫂兎は駄々っ子じゃのお!」
呆れたような薔薇姫の言葉
「だってこのままだと…薔薇姫ここに引きこもってずっと人間誤解してそうなんだもん」
「何を言って…」
「俺はまあ…見上げたような人間じゃないけどさ、薔薇姫が教えてくれたら紳士淑女になれるんだろ? それって薔薇姫、俺に紳士淑女の期待してくれてるし。意外と世の中捨てたもんじゃないし。まぁ、バカもいっぱいいるんだけど、さ。」
「……」
「だいたい、さっきまで邵可みてたろ。あいつは、きっと薔薇姫のこと、言うこと真正面からきくし、隠してることすら全部分かって受け止めてくれるから。そういうやつだから、あいつみたいなのはなかなかいないから、えーと」
何を言えばいいのかうまく言葉、みつかんないやと笑って俺は目を閉じ寝転がった
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bkm